今年も凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月4日=パリロンシャン)ウイークがやってきた。

フランスの競馬の街シャンティイで開業3年目の清水裕夫調教師(38)は管理馬の凱旋門賞出走、凱旋門賞制覇の目標こそ持ち越しとなったが、異国の地で日々変わらぬ情熱を競馬に注いでいる。清水師に今シーズンのここまでを振り返ってもらいながら、自身の厩舎をアピールしてもらった。

清水師 開業3年足らずで管理馬が35頭になりました(10月1日時点)。預けてくださっているオーナーも21人。フランス、英国、米国、日本と国際色が多岐にわたるようになりました。そして、今年よりフランス国内の牧場より直接生産馬を預託していただく機会を得ました。これも何より好成績を出してくれた厩舎スタッフ一同の頑張りのたまものだと思います。

現在厩舎にはドーヴィルのデビュー戦を圧勝し、注目されたミッドライフクライシス(※中間に一頓挫があった前走は度外視できます)や、コロナ禍でロイヤルアスコット(英国)遠征を中止せざるをえなかったアンドルフィンなど、オープン馬が6頭在籍しています。(クラシック出走やドーヴィル開催の活躍などもあったが)今シーズンは良い成績を残せた一方、まだまだ消化不良でした。ブラヴシーナやアンドルフィンなどの古馬勢、そしてミッドライフクライシスやチリツバキなど来年のクラシックを戦えそうな2歳馬たちもいますし、今年8月のセリで落札していただいた1歳馬もすごい出来です。

日本人のオーナー様へ私の厩舎が積極的に取り組んでいることは、セリなどで買われた牝馬にフランスのブラックタイプ(※セリ名簿で太字で示される成績)を付けさせて、日本へと繁殖用途に持ち帰っていただくことです。基本こちらの馬はサンデーサイレンスの血を持っていません。また、世界的に見てもフランスのブラックタイプは非常に価値の高いものだと思っています。開業3年目ですが、ヨモギ(セリで6000ユーロ、G3・3着)や、サクラゼンセン(同3000ユーロ、リステッド4着)を無事に日本へ見送ることができました。まずはホッとしています。フランスの8月のセールは終了していますが、10月のセールでは自分の培ってきた相馬眼を、信頼してくださるオーナー様のためにフルで発揮させたいと思っています。

どこの世界でもブレない人間が最後は勝つと思っていますので、自分を信じてまい進あるのみだと思っています。この場をお借りし、改めて預託させていただいておりますオーナー様へ感謝の意を申し上げます。

◆清水裕夫(しみず・ひろお)1981年(昭55)10月31日、千葉県柏市生まれ。開成高から日本獣医生命科学大卒。17年に調教師試験に合格し、18年にシャンティイ地区で開業した(フランスでは小林智師に次ぐ日本人2人目)。昨年暮れに勇退したジョン・ハモンド師(※凱旋門賞馬モンジューなどを管理)から厩舎を引き継いだ。今年は1月、2月のドバイG2で管理馬ニスリーンが2戦連続2着。ヨモギが仏1000ギニー(プールデッセデプーリッシュ)に出走(10着)し、厩舎のクラシック初出走を果たしている。目標は日本人調教師初の凱旋門賞制覇。好きなサッカーチームは柏レイソル。趣味は料理。

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