30日で引退を発表している山本康志騎手(43=久保田)が今週ラスト騎乗の日を迎える。

先週までJRA通算132勝(うち障害89勝)。11年には中山大障害をマジェスティバイオで制しG1初制覇を達成した。今週は土曜中山8Rマイネルヴァッサー(牡7、土田)と日曜中京1Rアーネストホープ(せん6、田中清)の2鞍に騎乗。「どちらも具合がいいんだよね」。最終週は勝利で有終の美を飾る。

「3年で騎手をやめるもんだと思っていた」。山本騎手はこれまでの騎手生活を振り返って、まず最初にこう言った。95年にデビューし、佐々木亜厩舎所属の1年目は126鞍に騎乗。96年の6月21日からは活路を求めフリーになった。(20年7月からは久保田厩舎所属)「1年目は1勝。乗鞍も少なく、うまいのか下手なのかもよくわからなかった。数を乗らなきゃと思ってフリーになって、ローカル回りを頑張っていた。そこから障害を乗ることでいろんな厩舎とのつても作れる、何でもやろうと思って障害を乗るようになって障害の魅力を感じた」と話した。

05年には新潟ジャンプSをメジロベイシンガーで勝ち重賞初制覇、11年には「華の大障害」と呼ばれる中山大障害をマジェスティバイオで勝ちG1制覇を達成した。「いずれいい競馬ができるんじゃないかと、心と体の準備をして10年目にして重賞を勝てるようになって、G1も勝った。その年(11年)は感じもよく、G3を2つ勝ってどちらかでG1に行くと思ったが、うまくいかなかった」。そんな中で大きなチャンスが訪れた。当時すでに障害重賞を2勝していたマジェスティバイオが柴田大知騎手から山本騎手に乗り替わりになった。「これは走る馬だと思ったよ。(初騎乗の11年)イルミネーションジャンプSは2着に負けたけど、大障害を勝つと思って組み立てたら勝った。僕でもG1を勝てた」。その後は再び柴田大知騎手が手綱を握ることになったが「ワンチャンスを生かせてよかった」と振り返った。

障害の魅力は、調教から携われること。「平地をあきらめることになった馬を復活させるのを任せてもらう。調教の段階でいろいろと組み立てていけるのが面白いと感じた」と話した。

これからは奥平厩舎の調教助手として経験を生かす。「組み立てて仕上げていくことは今までと変わらない。日々勉強していて、今まで以上にスタッフの大変さを感じる。ジョッキーの気持ちもスタッフの気持ちも理解してまた違う面を出していければ。1頭1頭に今まで以上に向き合っていける。組み立てていくのに携わるのが楽しみだよ」。来週からは新たな道を歩む鞍上の顔に笑みが浮かんだ。

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