日本人ジョッキーの福元大輔騎手(22)が12日、カナダのダービーに相当するクイーンズプレート(オールウエザー2000メートル、ウッドバイン競馬場)でマイティハート(牡3、J・キャロル)に騎乗し、逃げ切り優勝を果たした。
日本人初の快挙だ。新型コロナウイルスの影響により、2カ月半遅れで開催されたカナダの3歳チャンピオンを決めるレース。日本の若武者が、最初から最後まで先頭を譲らなかった。3角で後続にリードを詰められたが、直線手前で再加速。ゴールまで追われ続けて、2着馬ベリチックを7馬身1/4も突き放して栄光をつかんだ。勝ち時計は2分1秒98。
現地メディアの「トロントサン」では「マイティハート(MightyHeart)の力強い勝利(mightyvictory)」と人馬の勝利をたたえている。マイティハートは幼少期にけがで左目を失った隻眼の競走馬。見えない目をブリンカーで覆ってレースに挑み続けて、頂点に立った。福元騎手は「彼の体調は良かったです。彼には片方の目しかないけれど、とても大きな心、強靱(きょうじん)な心を持っています。(今日の勝利は)アンビリーバブル! 言葉では説明できません。彼は気分も良く、スタートも出ました。その後もそのまま前に行かせて、ゴールを過ぎても止まりませんでした」と会心の勝利を振り返った。
福元騎手は福岡県生まれ。幼少期に移り住んだ鹿児島県で馬に触れ、騎手を志した。中学1年時の10年には東京競馬場で行われたジョッキーベイビーズ本戦にも参戦。2度の競馬学校受験不合格をへて15年にカナダに渡り、17年に同国で騎手免許を取得した。デビュー2年目の18年に36勝を挙げて、ソヴリン賞の優秀見習騎手賞を受賞。12日時点で35勝を挙げ、同国リーディング7位につけている。今年1月にエクリプス賞最優秀見習騎手を獲得した2学年下の木村和士騎手(21)とともに北米競馬を盛り上げている。