<サンバサウジダービーC>◇29日=キングアブドゥルアジーズ競馬場(サウジアラビア)◇ダート1600メートル◇出走13頭

【リヤド2月29日=木南友輔】サンバサウジダービーC(ダート1600メートル)がキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われ、武豊騎手(50)が騎乗したフルフラット(牡3、森)が制し、日本調教馬、日本人騎手ともにサウジアラビア初勝利を挙げた。

1着賞金1000万ドル(約11億円)のサウジC(ダート1800メートル)は米国のマキシマムセキュリティ(牡4)が制し、ゴールドドリーム(牡7、平田)は6着、クリソベリル(牡4、音無)は7着だった。

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武豊騎手とフルフラットが大仕事をやってのけた。馬券発売はなく、英国のブックメーカーのオッズは7番人気タイという伏兵評価だった。だが、大外枠からスタートを決め、好位から4角手前で先頭に立つ積極的な仕掛け。脚色は最後まで衰えず、大歓声の中、英国馬ミシュリフ、ゴドルフィンのファイナルソングを従え、先頭でゴールを駆け抜けた。

日本馬、日本人騎手のサウジアラビア初勝利に喜びを隠さなかった。「コンディションが良くて、チャンスがあると思ってました。(昨秋の)アメリカ遠征の経験が生きた。世界のホースマンが集まっているし、勝ちたい気持ちが強かったです」。ゴールを過ぎると、珍しく右手の人さし指でNO・1をアピール。帰ってきたパドックでは馬上で両こぶしを突き上げた。

森師は「後ろをだいぶ離したので勝ったかな、と。最後は遊んでましたね」と満面の笑みを浮かべた。スタート前には頭絡が外れるアクシデントがあったもののすぐに下馬し、暴れないように左前脚を持つジョッキーの姿があった。「あれは競馬学校でよく勉強していたからできることでしょう」。騎乗だけでなく、レース前に見せた鞍上の冷静な対応も絶賛した。

今レース直後のサウジアCでコンビを組んだマテラスカイもゴール寸前で頭差差されたが、大逃げからの2着。ユタカマジックに場内は熱狂した。

フルフラットはUAEダービー(G2、ダート1900メートル、28日=メイダン)に参戦。結果次第でケンタッキーダービー(G1、ダート2000メートル、5月2日=米チャーチルダウンズ)が視野に入る。武豊騎手は「レース前から順調ならケンタッキーダービーに行きたいねと話していた。夢に一歩近づけたと思います」とうなずいた。騎乗した国と地域は16で、勝利を挙げたのは9とした。日本のレジェンドが未開の地サウジアラビアで確かな足跡を残した。

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