中国武漢で発見された新型ウイルス騒動は香港の競馬にも甚大な影響を及ぼしています。
春節半ばの27日にシャティン競馬場で開催された「チャイニーズ・ニューイヤー・レースデー」は、日本なら正月明けすぐの金杯デーといったところ。例年なら優に10万人を超すファンが詰めかけるビッグイベントでしたが、今年は一般ファンの入場が制限され、事前に競馬場内のレストランに予約したファンだけが観客となって開催されました。
この日は芝1800メートルのセンテナリーヴァーズ(G3)と4歳3冠シリーズの開幕となる香港クラシックマイル(芝1600メートル)を含む11の競走が行われましたが、8282人と発表された入場者が点在したスタンドは、閑古鳥が鳴いたよう。センテナリーヴァーズを制したエグザルタントを管理するA・クルーズ調教師のようなベテランが「こんな競馬場は見たことがない」という異様な光景のまま一日を終えました。
香港ジョッキークラブのW・エンゲルブレシト・ブレスゲスCEOは個人的な意見として、「このような状況が、あと6週から8週は続くのではないか」という厳しい見通しを立てています。
この日の注目レースだった香港クラシックマイルは単勝1・8倍の圧倒的な支持を集めたゴールデンシックスティー(せん4、父メダーリアドーロ)が、同厩舎でR・ムーア騎手が騎乗したモアザンディス(せん4、父ダッチアート)の猛追を1馬身1/4振り切って優勝。第1関門を突破して来月23日の香港クラシックカップに駒を進めることになりました。
ゴールデンシックスティーは昨年3月に香港はえぬきのK・ルイ厩舎からデビューして、これで9戦8勝。コンビを組むC・ホー騎手はパートン、モレイラ、ティータンのビッグ3に次ぐ、香港人騎手のナンバーワンです。
【奥野庸介】(ターフライター、ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)