<外国馬のいないJC ゼロの衝撃>

創設39年目で初めて外国馬不在で行われるジャパンCを競馬の現場はどうみているのか。ジャパンC最多タイの2勝(09年ウオッカ、14年エピファネイア)を挙げる国際派トレーナー、角居勝彦調教師(55)は「アジアチャンピオンシリーズ創設」など私案を温めていた。緊急連載「ゼロの衝撃」で最前線の声を伝える。

 日本競馬界きっての国際派、角居師は、ついに外国馬参戦ゼロのジャパンCをしっかり受け止める。ショッキングな事象の要因は「日本の馬が強くなりましたから。海外の馬は、日本の特殊なスピードの競馬についていけない。これだけ外国の騎手が来るのに外国馬が来ないのは『スピードが足りない』と、騎手が進言しているんじゃないか」と推測する。加えて「優秀な馬のブラックタイプ(血統表)に、傷をつけたくないチームは、連れてこないと思う」との見解も示した。

 角居師自身が海外に何度も挑戦し、栄光をつかんでもきた。メルボルンC、ドバイWC、アメリカンオークス、香港マイル・・・など世界4カ国・地域で海外G1を5勝。今年もキセキで凱旋門賞に挑戦した(7着)。立場を置きかえれば、海外勢の心理に思いが及ぶ。ではどうすれば、外国馬がジャパンCに来るようになるのか?

 「向こうは10月の凱旋門賞でシーズンが終わりになる。その前後からこっちに転戦できるようにオーストラリア、日本、香港でスケジュールを組み、アジアチャンピオンシリーズでもあれば来やすいのでは」

 壮大な私案だが、夢物語ではない。3カ国の秋の芝2400メートルG1は今年の日程では、10月19日にコーフィールドC(豪)、11月24日にジャパンC、12月8日に香港ヴァーズ。ジャパンCから香港までは中1週しかなく、島国独特の検疫問題などもあって転戦は厳しい。その日程の課題がクリアされれば、欧米強豪馬参戦のハードルは下がるのかもしれない。

 「アジアでサーキットのようにレース体系をまとめてあげれば、ヨーロッパの馬もアメリカの馬もこぞって来るんじゃないですかね。みんな賞金もいいですから」。転戦によって外国馬の能力を見極められればファンの馬券購買意欲も上昇し、海外馬券発売に力を入れるJRAにもメリットはある。「強い外国馬と日本馬が走る、そういうレースの馬券をファンのみなさんも買いたいと思うのでは」。国際派でありながらファン目線も併せ持つ角居師ならではの提言だった。 【木村有三】

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