<札幌4R>◇25日=札幌◇3歳未勝利◇ダート1700メートル◇出走14頭

爽やかな風が吹く札幌に“ナナコフィーバー”が巻き起こった。JRA唯一の女性騎手、藤田菜七子騎手(22=根本)が札幌4R(3歳未勝利、ダート1700メートル)を4番人気キモンボーイ(牡、田所)で勝利し、今週初見参の当地で初勝利を挙げた。勝ち時計は1分46秒3。騎乗機会7週連続の勝ち星で、昨年に記録したJRA女性騎手年間最多勝記録であるキャリアハイのJRA27勝に並んだ。

見慣れた黄色と赤の勝負服をまとった藤田騎手とキモンボーイが絶好の手応えで4角を回る。馬群の内でエンジンをふかし、今か今かと強襲のタイミングを狙っていた。泥を浴び、前後左右を馬に囲まれても、ゴールの瞬間はイメージできていた。直線で外に持ちだし、1番人気シゲルクロダイヤに並びかける。直線は一騎打ち。少しずつ、確実に差を詰めて、最後は首の上げ下げでライバルを競り落とした。

同馬とは今年3月の中京(4着)以来、5カ月ぶりのコンビ。過去3回の騎乗に加え、近走の分析がはまった。藤田騎手は「最近はいい競馬をしていたので、その形で競馬をしたいと思っていました。ゲート自体は出られないので前には行けないけど、馬群の中でも気にすることはありませんでした。直線の手応えも良くて、ラストまで頑張ってしっかり走ってくれました」と笑みがこぼれる。これまでも序盤は常に後方。今回は向こう正面で少しずつポジションを上げ、4角では差し切りを狙える好位につけた。この週末が初めての札幌参戦だが、直線が短く、ダートでもロングスパートが決まるコースの特徴を最大限に生かした。

勢いは本物だ。7月7日福島2Rコパノビアンカ1着から始まり、騎乗機会7週連続の勝利を達成。歓喜に沸くウイナーズサークルでは黄色い歓声と野太い声援が入り乱れた。「ファンの声援はすごくありがたいし、勝つことができてうれしいです」。札幌での勝利はJRA7場目。“全10場制覇”まで残すところ京都、阪神、函館の3場となった。

メモリアルVにリーチをかけた。JRA通算74勝目は昨年記録した27勝に並ぶキャリアハイの数字。スウェーデンやイギリスへの招待競走参戦で不在の時期がありながら、ハイペースで勝ち星を積み重ねてきた。まだ19年は4カ月以上も残っており、記録更新はほぼ確実だ。「去年の数字を超すことがまず今年の目標にありました。まだ8月の夏競馬の間に並ぶことができましたし、もっともっと満足せずに勝っていきたいです」。勝つ度に次の1勝が欲しくなる。藤田菜七子はどこまでも勝利に貪欲だ。

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