中央競馬の騎手がばんえい競馬を盛り上げるイベント「JRAジョッキーDAY」が19日、北海道・帯広競馬場で行われ、2年連続参戦の藤田菜七子騎手(22=根本)が場内を沸かせた。
昨年総合2位タイだったエキシビションレースでは第1戦、第2戦ともに7位の総合7位。それでも通常の平日開催の2倍以上となる2858人の観衆を喜ばせた。今週24、25日には初騎乗となる札幌競馬場でワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)に出場。今度は世界の名手との競演でファンを沸かせる。
直線の女王も勝手が違ったか。藤田は抽選で決まったリュウノカミ(牡5)とコンビを組んだエキシビションレース第2戦。先頭集団で迎えた第2障害で馬が立ち止まり失速。「ふじたー」「ななこちゃ~ん」。野太い声援が飛び交う中、直線で必死に手綱を動かしたが、第1戦に続く7着。「馬も大変なんだろうなと思った」と悔しそうに振り返った。
鉄そりに乗り、後ろから本職の騎手に支えられながらの模擬レース。昨年2401人を約450人上回る観衆の注目を集めた。昨年総合2位で、今年は「もちろん優勝」と意気込んでいたが上位進出はならず。「障害は迫力があってすごいなと思う」。前日まで騎乗していた新潟の直線1000メートルのコースでは騎乗機会3連勝中だったが、障害有りの直線コースには苦戦の様子だった。
本業では騎乗機会6週連続勝利中で、自身が昨年マークしたJRA女性騎手年間最多勝(27勝)にあと1勝に迫っている。6月のウィメンズジョッキーズワールドカップ(スウェーデン)で優勝するなどの実績を重ね、先日は英アスコットのシャーガーCにも招待された。それらの活躍が認められ、国内外の騎手14人が争うWASJにJRA代表として初選出された。
JRAの競馬場では札幌、函館以外の8場で騎乗歴があり、札幌での騎乗は今週末が初めて。「ゆっくりに見えても迫力があって面白かった」と帯広でリフレッシュした藤田が、世界の強敵相手に手綱さばきを披露する。【村上秀明】
◆ばんえい競馬 世界で唯一、帯広競馬場で行われている。馬体重1トン前後の「ばん馬」が最大1トンの鉄そりを引いてパワーとスピードを競う。ゲートから直線200メートル、幅1・8メートルのセパレートコースで、第1障害は高さ1メートル、最大のヤマ場となる第2障害は高さ1・6メートル。中間地点では騎手が馬を休ませ、スタミナを温存させることが多い。そりの後ろ端がゴール線を通過したところがゴールとなる。
◆JRAジョッキーDAY 中央競馬の騎手がばんえい競馬に集結する夏の名物イベント。07年に始まり、今年で13回目。09年の第3回からエキシビションレース2戦合計のポイントを競う形となった。勝浦は第1回からフル参戦で、松岡は11回目と常連。昨年総合Vの荻野琢が最多3度の優勝を果たしている。