<エルムS>◇11日=札幌◇G3◇ダート1700メートル◇3歳上◇出走14頭

「信頼」の勝利だ。追い込みの個性派モズアトラクション(牡5、松下)が待望の重賞初制覇を果たした。コンビ4戦目の藤岡康太騎手(30)に導かれ、いつもの後方待機で3コーナーからスパートして差し切り。“北海道ダート3冠”の最終戦で最高の結果を出した。今後は様子を見ながらシリウスS(G3、ダート2000メートル、9月28日=阪神)を視野に入れる。

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その豪脚を信じていた。いつも通り序盤は後方から。直線はわずか264・3メートル。それでもモズアトラクションと藤岡康騎手は慌てない。1000メートル通過58秒5の激流の中で脚をためた。「状態はすごくいいと感じていた。リズム自体もすごく良かったので」。機が熟した3コーナーから手綱をしごき、内を突いて進出。完歩に合わせて右ムチを打ち込み、堂々と突き抜けた。「追い上げる脚が良かった。うまく内をさばけた」と端正な顔を崩した。

待望の初タイトルだ。松下師は「鞍上が続けて乗ってくれて、最後の脚を分かっている。エルムの花言葉が『信頼』ですからね」と笑った。昨年の夏負けを教訓に、今夏は函館滞在を選択。「小回り1700メートルが合わんかもと思ったけど、夏負けするよりはと」。信念をつらぬいての“北海道ダート3冠”皆勤。気温30度を下回る涼しさで好調を維持できた。大沼S4着、マリーンS2着から、脚質同様に最後で逆転した。

追い込み一徹の個性派が、ついに花を咲かせた。決して器用ではないが、鞍上も「能力はすごくいいものを持っている」と認める。今後はシリウスSを視野に入れ、状態を見極められる。信じれば道は開く。自分のスタイルを崩さすに突き進む。【太田尚樹】

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