<レパードS>◇4日=新潟◇G3◇ダート1800メートル◇3歳◇出走15頭
希少な白毛の馬が初めてJRAの重賞を勝った。白毛馬ハヤヤッコ(牡、国枝)が10番人気の低評価を覆し、ゴール前で1番人気デルマルーヴルを差し切った。勝ち時計は1分51秒3。田辺裕信騎手(35)は重賞騎乗機会4連勝。「ディープインパクト追悼競走」として行われたレースは同馬を所有していた金子真人オーナーの馬が制した。今後もダート路線を中心にローテが組まれる。
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白毛の馬体の追い込みにファンの興奮も高まる。ダートの白い砂を蹴り上げて、ハヤヤッコが粘るデルマルーヴルを捉えた。JRAに初めて登録された79年生まれの白毛馬ハクタイユー(未勝利)から40年。希少な毛色の馬が、初めてのJRA重賞制覇を飾った。田辺騎手は「なかなか乗る機会もないので、乗るだけでも光栄。歴史的なことに乗せてもらってうれしい」と目を輝かせた。歴史的瞬間はディープインパクトと同じ黄、黒、青の勝負服の馬によって達成された。
さえ渡る鞍上の好リードが光った。田辺騎手はラジオNIKKEI賞(ブレイキングドーン)、プロキオンS(アルクトス)、アイビスSD(ライオンボス)に続くJRA重賞騎乗機会4連勝。鞍上は「何があるか分からないので、浮かれないようにしていた」と涼しい顔で言った。
キャリア初の白毛馬騎乗。高ぶることなく柔軟な騎乗を貫いた。田辺騎手は「流れが速いかなと思ってついて行くのをやめた」と振り返る。戦前のプランは先行策。序盤のペースが早いとみるやいなや、すぐに後方待機に切り替えた。国枝師も「田辺がよく考えて乗ってくれた。あんまり砂をかけたくなかったし、外に出してしまいもスムーズに走れた。流れもちょうどよかった」と称賛した。ラチ沿いであえぐ先行馬をあざ笑う、完璧な騎乗だった。
今後は自身の走りで価値を高めていく。芝にも勝ち鞍はあるが、引き続きダートでの起用がされる見通しだ。国枝師は「10日ほど前に新潟に来ていい調整ができた。すごいね。かわいい馬だよ」と笑みが絶えない。見た目も、実力もスターになる要素を十二分に秘めている。【松田直樹】