05年に史上2頭目の無敗の3冠馬になるなどJRA・G1最多タイの7勝を挙げた「空を飛ぶ馬」ディープインパクトが30日早朝、死んだ。17歳だった。29日午前中に起立不能となり、30日の検査で頸椎(けいつい)に骨折が見つかり、安楽死の処置が取られた。

ディープインパクトを失い、けい養先の北海道安平町にある社台スタリオンステーションでは30日、事務局の徳武英介氏(57)が対応した。「本当に残念。まさかという思い」と沈痛な表情を浮かべた。偉大な種牡馬は苫小牧市の社台ホースクリニックの入院馬房で、この日午前6時40分、息を引き取った。

頸部(けいぶ)の痛みなどから、今シーズンの種付けは2月18日に中止していた。種牡馬復帰を願って、28日に同ホースクリニックで頸部の手術を施した。米国から権威のある獣医師を招き、社台グループの獣医師も含めて10人以上のチームを結成。手術は成功して5日間、入院馬房で過ごすスケジュールが組まれた。翌29日には「草を食べ、日常の生活を取り戻していた」と徳武氏。ところがその日の午前中に容体が急変して起立不能になった。30日早朝にエックス線検査を行うと、手術箇所とは違う部位の骨折が判明。回復の見込みが立たないため安楽死処分となった。

徳武氏は「手術との因果関係はない」と話した。ディープインパクトは首の力がかなり強く、同氏は「もともと骨折していなかった。何かの拍子なのか。力んだとか、寝起きに何かがあったのか」と骨折の原因を推測。死ぬ直前は苦しむこともなく、痛みを通り越して寝ているような状態だったという。

今年の種付け頭数は24頭だけ。海外の繁殖牝馬が半数以上を占め、徳武氏は「日本で生まれるのは4、5頭ぐらい」との見解を示した。亡き父の遺志を受け継いだラストクロップは、順調なら22年夏にデビューする。【久野朗】

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