<プリンスオブウェールズS>◇19日=アスコット(英国)◇G1◇芝1990メートル◇4歳上◇出走8頭

日本から参戦したディアドラ(牝5、橋田)は6着に敗れた。レース中に激しく降った雨、水分を含んだ馬場で、今年のプリンスオブウェールズSがどれだけタフなレースだったのかを振り返りたい。

勝ちタイムは2分10秒25。14年ザフューグがマークしたレースレコード(コースレコード)の2分1秒90よりも8秒以上遅かった。アスコット競馬場のレース映像で、1ハロンごとに表示されたレースのラップは最初の1ハロンが14秒3。そこから12秒9、13秒4、13秒0、12秒7(前半1000メートル通過が66秒5)、12秒3、12秒8、12秒2、12秒8、13秒3と続いていく。

興味深いのは、アスコット競馬場が発表した上位3頭の上がり3ハロンの数字だ。1着クリスタルオーシャンが38秒44、2着マジカルが38秒32、3着ヴァルトガイストが38秒49でいずれも38秒台だった。

同様にアスコット競馬場が発表している上位3頭の走行距離は1着クリスタルオーシャンが2036・5メートル、2着マジカルが2031・1メートル、3着ヴァルトガイストが2038・2メートルとなっている。

武豊騎手が「とてもタフなレースだった」と振り返った一戦。ディアドラは雨の中で行われた17年秋華賞(重馬場)を制しているが、当時の勝ちタイムは2分0秒2。自身がマークした上がり3ハロン(メンバー最速)の数字は35秒7だったから、今回のプリンスオブウェールズSはまったく別次元の消耗戦だったことがわかる。

近年の日本のG1で近いイメージなのは、キタサンブラックが勝った17年の天皇賞・秋か。不良馬場で行われ、芝2000メートルの勝ちタイムが2分8秒3。勝ったキタサンブラックがマークした上がり3ハロン(メンバー最速)の数字が38秒5だった。

競馬、そして、海外遠征において、天候と馬場状態はなかなか思惑どおりにはいかないものだし、コントロールすることなどできない。今年のプリンスオブウェールズSは、日本ではめったに経験できない重い馬場、欧州のトップホースが相手だった。歴史的な勝利をおさめることはできなかったが、ディアドラの健闘をたたえたい。

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