日本中央競馬会(JRA)は15日、禁止薬物を含む飼料添加物を摂取した可能性のある馬がいることが判明したため、15、16日に東京、阪神、函館の各競馬場で行われるレースから除外すると発表した。競走除外は156頭で、異例の規模。16日も予定通り開催される。

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中央競馬が前代未聞の事態に陥った。この日午前6時半にJRAは「今週の出走予定馬の中に、禁止薬物を含んだ飼料添加物を摂取した可能性のある馬が判明した」として、該当の156頭(土曜72頭、日曜84頭)を競走除外にすると発表した。土日の出走予定馬983頭の15・9%にあたるほど大規模な除外で、頭数減から売上も下がり、土曜は除外頭数が少なかった東京で前年比102・9%と微増した以外は、阪神で同89・4%、函館で同79・3%とダウンした。

JRAは午前の4レース終了後に、開催3場で相次いで会見を開いた。説明によると、禁止薬物が検出されたのは競走馬用のサプリメント「グリーンカル」。前日14日の午後4時ごろに複数の調教師から「業者が『禁止薬物が含まれているという検査結果が出たので回収したい』と言っているが、どうしたらいいか」といった問い合わせがあり、競走馬理化学研究所で製品を検査したところ、禁止薬物テオブロミン(※)が検出された。開催前日で全頭検査が間に合わないことから、摂取した可能性のある出走予定馬すべてを、公正確保のため競走除外とした。

「グリーンカル」は以前から販売されており、袋には禁止薬物検査で陰性と明記されていた。本来ならロット(同じ条件で生産された製品)ごとに検査を受けて陰性確認後に販売されるはずが、確認前に流通したロットが美浦6厩舎、栗東22厩舎へ納入された。混入した原因は不明で調査中となっている。

該当厩舎で来週に出走を予定している馬については、出馬登録前に全頭が検査を受ける。23日阪神の宝塚記念(G1、芝2200メートル)登録馬が出走不可能になる可能性もゼロではない。テオブロミンは効果が10日間以下とされており、再来週以降の出走予定馬については検査を行わない。JRAでは「多くの方々にご迷惑をおかけした。再発防止のため、より厳格に検査を徹底する」とした。

◆テオブロミン 天然に存在する物質で、チョコレートやココアの原料となるカカオにも含まれている。興奮、気管支拡張、強心、利尿などの作用があり、競馬施行規程で禁止薬物に指定されている。

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