今週は令和最初のダービー(G1、芝2400メートル、26日=東京)が行われる。

07年の厩舎開業から13年目。松永幹夫師(52)がリオンリオンで初めて3歳牡馬クラシック参戦へとこぎつけた。舞台は世代の頂点を決めるダービー。「入厩する馬たちにはクラシックを、と思って期待していますからね。情けない話ですけどやっとっていう感じです」と思いを吐露した。

夢を現実にしてくれたのは、騎手時代の同期横山典騎手だった。3走前から手綱を取り、コンビ2戦目の大寒桜賞では初めてハナを切って勝利。前走青葉賞でも大胆に逃げて、ダービー切符を獲得した。

35年ほど前の競馬学校当時を、松永幹師は鮮明に覚えている。「ノリは本当に明るくて器用だった。工作も絵もうまかった。ああ見えてって言えば怒られるけど」と笑う。身体能力ではライバル的存在だった。

「飛び乗り、飛び降りというのがある。馬に乗って、反対側に降りて、また乗る。教官から往復10回と言われてやるんですけど、ノリが結構速くて。僕も遅い方じゃなかったので、負けたくない気持ちがありましたね」

18日の競馬で騎乗停止処分を受け、ダービーで横山典騎手がまたがることはできなくなったが、三男武史騎手に手綱を託すことを決めた。「若さと腕を買って武史でいこうと、オーナーにも言っていただいた。活躍して結果も出しているし、選択肢の1人だった」。同期との絆はほどけることはなく、その息子へつながれた。「ノリだったらいろいろ分からなかったけど、ハナに行ってもらいたい。思い切って乗ってもらいたい」。絆と縁が結んだ力を信じて、愛馬を夢舞台へ送り出す。【木村有三】

◆松永幹夫(まつなが・みきお)1967年(昭42)4月10日、熊本県生まれ。86年3月阪神で騎手デビュー。通算1万2416戦1400勝。重賞54勝、G1はイソノルーブルで挙げた91年オークスなど6勝。ダービーは10回出走し、97年メジロブライトの3着が最高成績。06年に引退し、07年に厩舎開業。調教師通算331勝、重賞15勝、G1・3勝。

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