ドバイターフの翌週に予兆は感じられた。

桜花賞前々日の朝、美浦トレセンのスタンドで国枝師と2人きりで海外競馬トーク。自分が直近の英国、香港取材で見てきたことを伝え、国枝師からはドバイの現地であったこと、エネイブルのゴスデン師と会話した内容などを教えてもらった。本紙へ寄せた手記ではヨークシャーオークス(英国)をステップに凱旋門賞へ挑むプランが明かされていた。「ヨーク競馬場はまだ行ったことがないので行きたいなあ」。こちらがこぼすと、師は笑みを浮かべ、「ブエナビスタはドバイの後にヴィクトリアMを使ってたんだっけ?」とポツリ。え、まさか・・・。発表は締め切り直前になったが、陣営にはかなり早い段階から登録見送りという選択肢があったのだろう。

ノーザンファームの生産馬から活躍馬が続出するのは同牧場が海外から優秀な繁殖牝馬(血統)を導入し続けるのが理由。海外遠征にはさまざまなリスクが生じる。アーモンドアイが牡馬であれば話は別だが、歴史的な名牝であればあるだけ、慎重になる。

多くのファンが凱旋門賞挑戦を望んだはずだ。絶対に勝てる、絶対に好勝負できるならば遠征するはず。ただ、前走は「休み明けでまったく危なげのない勝利」という見方もできるし、「英国のG1未勝利馬が差のない3着に入り、海外での能力発揮に疑問符がついた」という見方もできる。凱旋門賞は大事なレースではあるが、もはや悲願ではなく、無謀な挑戦は避けたい。生産者の視点に立てば登録見送りは理解できる。【木南友輔】

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