<柏山自夢・MyDream:フェブラリーS>
藤田菜七子騎手(21=根本)のデビューから自分が栗東に異動するまでの約8カ月、担当記者をしていた。「負けたくない」は当時からの口癖。ただ、今週の取材で「勝つ」「決める」「1着を」と勝利を意識する言葉が多く出るようになったことに驚いた。
すっかり勝負師となった21歳には、誇れる数字がある。ダートの10~12番枠で8勝(18年~先週まで)。「憧れ」と話す武豊騎手(5勝)よりも、M・デムーロ騎手(7勝)よりも多い。単勝回収率137%はフェブラリーS騎乗騎手中で、松山騎手に次ぐ堂々の2位。逃げて、先行して、追い込んで。一流騎手にも誇れる、七色の騎乗スタイルだ。それだけにコパノキッキングと挑む初めての大舞台、(11)番枠は念願だった。
相棒は根岸Sで馬群の外を回り、中距離巧者ユラノトをねじ伏せた。距離は心配ない。「コパノキッキングと私のレースができれば。1着でゴール板を駆け抜けるようなイメージをしています」。頭の中に浮かんだ栄光を、小学生の頃からの夢を、現実のものにする。馬連(11)-(3)(6)(14)(7)(10)(13)。