藤田菜七子騎手(21=根本)がフェブラリーS(G1、ダート1600メートル、17日=東京)でJRA女性騎手としてG1初騎乗を迎える。相性のいい「Drコパ」こと小林祥晃(さちあき)オーナー(71)からJRA重賞連勝を含む4連勝中のコパノキッキング(せん4、村山)の鞍上に指名された。9日小倉8R(ワイプティアーズ)で3週連続の勝利を飾り、勢いをつけてG1へ。デビュー4年目で訪れた好機を前に、心境を思い切り語った。

ついに、この時が来た。16年3月に16年ぶりのJRA女性騎手としてデビューした藤田菜七子騎手がG1の晴れ舞台に立つ。Drコパとして知られる風水家、小林祥晃オーナーからの電話で手綱を託された。

「根岸Sは中京で最終レースに乗っていて見られなかったんです。(全レースが終わった直後の)まだ何も分からない時に連絡をいただいて・・・。本当に信じられない気持ちでした。鳥肌が立つような。乗るとは思っていませんでしたから」

驚きと興奮が全身を駆け巡る。すぐに重賞連勝中の相棒の動画を何度も見た。

「根岸Sで素晴らしい馬だと思いました。ダート1000メートルでも前に行けて、前々の競馬もできる。それなのに、(2走前)カペラSや根岸Sではしまいにいい脚を使っていました。大きなチャンス。うれしいです」

馬主別成績では19年初勝利のコパノピエールなど、同オーナーの馬でトップの5勝を挙げる。21歳の藤田騎手と71歳の小林オーナー。孫と祖父ほどの年齢差だが、厚い信頼関係がある。

「本当に感謝しています。コパさんは懐の深い方。お忙しいと思うのでレースの前と後は騎乗馬についてメールでやりとりをさせてもらっています。私も占いとかは好きなんです。以前、馬に乗せていただいた時に『今年は新しいものを使うといい』と言われたので、もともと欲しかった白い加湿器を買いました。その時は白、赤、ゴールドがいいと言われたので」

JRA女性騎手として最多となる全50勝中、21勝が初コンビを組んだ「テン乗り」の馬。今年の3勝も全てテン乗りだ。「普段の移動中は音楽を聴いていますが、レース前の移動の車中では騎乗馬のレース動画を見ています」。研究、予習は欠かさない。初騎乗だろうが、馬の全能力を引き出す-。その思いがG1への高揚感をかき立てる。

「今はそれほど緊張していません。楽しみの方が大きいですね。『やってやる!』という気持ち。出馬表とか枠順も決まってくると少し緊張してくるかもしれないですね。デビュー前と同じかもしれません」

負けず嫌いを自認する。悔し涙は何度も流してきた。うれし涙はただ1度で、16年4月10日、福島9R(サニーデイズ)で初勝利を挙げた時だった。

「勝った瞬間、私自身は『よっしゃー』っていう感じでした。厩務員さんが『ありがとう』って言ってくださって。口取りをしてウイナーズサークルでインタビューをされた時に、すごくたくさんの人に『おめでとう』と言ってもらったことがすごくうれしくて・・・」

感動を与える職業だが、同時に感謝の気持ちを覚えた。「ジョッキーは素晴らしい仕事」。日に日にその思いは強くなる。レース当日は東京競馬場に5万人超が予想される。目指すのはG1初騎乗初勝利。夢見たビッグレースが近づいてきた。【松田直樹】

◆JRA・G1初挑戦で優勝した騎手 グレード制導入後の84年以降、88年オークス(コスモドリーム)の熊沢重文騎手、91年天皇賞・秋(プレクラスニー、※1位入線メジロマックイーンが降着)の江田照男騎手の2人(JRA所属の現役騎手に限る)。

◆この日の藤田騎手 小倉で8鞍に騎乗し、2Rキモンボーイの2着が最高だった。くしくも馬主はキッキングと同じ小林オーナー。縦長に伸びた隊列の後方から向正面で動き、ロングスパートでゴールまで追い通した。勝利は遠かったが、「菜七子&Drコパ」のタッグは40戦して【5 5 0 30】の連対率25%。相性は良い。

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