7日福島の開成山特別(500万、芝2600メートル)に障害界のスーパースター、オジュウチョウサン(牡7、和田正)が、武豊騎手を鞍上に出走を予定しています。

 障害の人気が高い欧州では平地と障害を行き来する馬は少なくなく、「二刀流」はさほど珍しいことではありません。しかし、その多くは平地競走に軸足を置いた馬が、平地のオフシーズンに障害を跳ぶパターン。障害のスペシャリストが平地のビッグレースに出る例はあまりないようです。

 海外では障害は、比較的、飛越難易度の低い「ハードル」と、日本でも有名なグランドナショナルのような高難度の「ステープルチェイス」の2つに大別されています。障害馬には通常は3200メートルで行われる専用の平地競走も用意されていて、それは「ナショナルハントフラット」という呼び名で区別されて独自のグレードもつけられています。

 平地を走っていた馬が障害を使われる主たる目的は体力強化や気分転換で、日本に輸入されて菊花賞馬スーパークリークの父になったノーアテンションはオフに障害を跳ぶことでスタミナを増し、平地に戻って重賞の常連に成長しました。

 最近ではアイルランドを本拠にしたハートブレークシティー(せん8、父ランド)が平地の途中に障害に挑んで酷量の74キロを背負って優勝。日本でも馬券発売された16年のオーストラリアG1メルボルンC(芝3200メートル)で、2着に食い込んで穴をあけました。

 障害馬としてキャリアをスタートさせたウィックローブレーヴ(せん9、父ビートホロー)は欧州障害で7勝を積み上げたのちに平地に活躍の場を移し、一昨年の愛セントレジャー(G1、3歳以上、芝2800メートル)に優勝。長距離王オーダーオブセントジョージを破る大金星を飾りました。

 オジュウチョウサンは、これが約4年8カ月ぶりの平地挑戦ですが、前走の中山グランドジャンプで見せた脚色は出色。日本競馬から本格的な「二刀流」が登場するかもしれません。【奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)

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