<オジュウの挑戦(2)>
障害界の絶対王者を育てた和田正一郎師(43)は開業10年目に突入した気鋭のトレーナーだ。父は今年2月に定年引退した正道師。実家は和田牧場。子どもの頃から馬を見て育った。毎朝の調教時には必ず自らコースの馬場状態を確認。丁寧な仕事ぶりで個人馬主、大手牧場の信頼も厚い。
オジュウチョウサンは、3歳暮れに転厩してきた。当時の戦績は2歳時に平地で連敗し、3歳初戦となった11月の初障害も14着。王者の片りんすら見せていなかった。「あくまで想像ですが・・・、デビュー当初は体が成長しておらず、それが原因で前向きさもなかったんだと思います。4歳の暮れと比べても、今は全然違います」。過去の平地2戦と違う結果を期待する。
チークピーシズ着用や耳覆いを外すことなど馬具の工夫を進言し、厩舎とともに奥手の才能を開花させてきたのが石神深一騎手(36)。「オジュウはすごい馬。誰もが認める記憶、記録を作りたい」。そう話した前走でJ・G1・5連勝、重賞9連勝を達成した。落馬負傷で今回は調教を手伝えないが、調教師、厩務員、助手と会話し、サポート役に徹する。1週前追い切りを見届け、「調教の動きだけなら完全に(平地の)オープン馬ですよ」とほれ直した。騎乗はできないが、主戦騎手の応援が今回の挑戦を支えている。 【木南友輔】