<頑張れ、日本生まれのディープインパクト産駒サクソンウォリアー(2)>

 今週末、英国で行われる英ダービー(G1、芝2410メートル、6月2日=エプソム)に日本生まれのディープインパクト産駒サクソンウォリアー(牡3、A・オブライエン)が出走する。英国のクラシック初戦、英2000ギニーを圧勝し、断然の1番人気として挑む。歴史的偉業を成し遂げることはできるのか。

 28日(月曜)時点で英ダービーの登録は14頭。サクソンウォリアーを筆頭にアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎が7頭。ジョン・ゴスデン厩舎はダンテSを5馬身差で制したロアリングライオンともう1頭だ。

 他にはチェスターヴァーズ覇者のアンテロ産駒ヤングラスカル、英2000ギニーで3着だったゴドルフィンのマサーなど。一昨年の英愛ダービー馬ハーザンドのおいにあたるハザプール(牡3、D・ウェルド)は鞍上にフランキー・デットーリを迎えて参戦する。

 グレフュール賞を勝って、英仏ダービーの両にらみだったフランスのディープインパクト産駒スタディオブマン(牡3、P・バリー)は英ダービーの方から名前が消え、3日に行われる仏ダービー(G1、芝2100メートル、シャンティイ)参戦が有力。これにより、ディープインパクト産駒の日英仏3カ国ダービー制覇の可能性が出てきた。

 英2000ギニーをサクソンウォリアーが勝った翌日(5月6日)の東京競馬場でノーザンファーム代表の吉田勝己氏は言った。「複雑ですよ。(クールモアグループに)とんでもない種牡馬ができてしまったのかもしれない」「(サクソンウォリアーは)生まれたときから素晴らしい馬だった。譲ってほしいとお願いしたくらいだからね」。

 サクソンウォリアーは15年1月26日に日本のノーザンファームで生まれた。一般的に海外で「生産者」は「繁殖牝馬の所有者」を意味するため、サクソンウォリアーのブリーダー欄にノーザンファームの名前はなく、クールモアグループの名義「オーペンデイル」の表記がある。サドラーズウェルズやガリレオの血を持つ牝馬であふれるアイルランドの大牧場兼馬主クールモアがディープインパクトと交配させるためにノーザンファームへ預託した複数の繁殖牝馬、そのうちの1頭がメイビーだった。

 メイビーは2歳時にデビューから5戦無敗でG1モイグレアスタッドS(芝1400メートル)を制したガリレオ産駒の名牝。3歳シーズンは1番人気の英1000ギニーで3着に敗れて、英オークスが5着、ファルマスSが5着、メイトロンSが8着。9戦5勝の成績で繁殖入りしていた。

 来日したメイビーはディープインパクトと交配する。14年に生まれた牝馬のパヴレンコ(サクソンウォリアーの全姉で同様に愛でデビュー)は平凡な成績(11戦1勝)にとどまるが、2番子のサクソンウォリアーがすさまじい活躍を見せ、クールモアの試みは見事に成功をおさめている。

 海外のオーナーが繁殖牝馬を日本に送ることは、最近始まったことではない。社台グループ関係者は「日本で生まれた馬が海外のG1を勝ったことは過去にもありました」と胸を張る。

 95年にアイルランドのG1タタソールズGCを勝ったシーヴァ(牝、父ヘクタープロテクター)。そして、社台コーポレーション白老ファームで生まれたカラコンティ(牡、父バーンスタイン)。同馬は14年の仏2000ギニーを制し、秋には日本生産馬として史上初のBC競走(BCマイル)制覇を成し遂げた。

 母親が受胎した状態で海を渡った馬ではディープインパクト産駒ビューティーパーラーが12年に仏1000ギニーを制し、仏オークスで2着に入っている。

 日本で生まれ、アイルランドで調教されているサクソンウォリアーとアイルランドで生まれ、フランスで調教されているスタディオブマン。今週末、ディープインパクト産駒の日英仏3カ国ダービー制覇が現実のものになるかもしれない。【特別取材班】

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