<共同通信杯>◇11日=東京◇G3◇芝1800メートル◇3歳◇出走12頭
オウケンブルースリ産駒の6番人気オウケンムーン(牡、国枝)が、3連勝で重賞初制覇を飾った。勝ちタイム1分47秒4。好位をリズム良く進み、直線で抜け出すと後続馬を振り切った。4月15日中山の皐月賞(G1、芝2000メートル)に直行する。断然の1番人気グレイル(牡、野中)は7着に敗れた。
オウケンムーンの強さだけが際立っていた。直線の坂下から鋭く反応する。前を行く3頭をかわし、追ってきた2着馬を3/4馬身しのいだ。北村宏騎手が「反応が良かったし、よく伸びた」とレースぶりに感心しながら話した。
デビュー前からつかみどころのない馬と感じていたという国枝師も「いい競馬ができて、びっくり」と驚く。調教の動きは目立たず、迫力も感じない。JRAに現在7頭しかいないオウケンブルースリ産駒。血統的な背景も地味で、昨年8月12日の新馬戦(4着)は8番人気だった。しかし師は「レースでの動きが素軽かった。意外とおもしろいのかなと思った」と手応えもつかんでいた。
予感は2戦目で現実になる。6馬身差のレコード勝ちの未勝利戦(17年9月2日)からの3連勝で一気の重賞制覇。アパパネ、マツリダゴッホなどを管理し、調教師生活30年目になる師は「実戦向きの馬。そうとしか言えないかな。手がけた中にこういう馬は何頭かいたが、重賞まで勝ったのはこの馬が初めて。こういうことがあるから競馬はおもしろい」。12年ゴールドシップ、14年イスラボニータ、16年ディーマジェスティと過去10年の勝ち馬から3頭の皐月賞馬を輩出した出世レースを制した。トライアルを挟まず皐月賞へ直行予定。オウケンムーンが、牡馬クラシック戦線の主役に躍り出た。【三上広隆】