<安田記念>◇4日=東京◇G1◇芝1600メートル◇3歳上◇出走18頭

 未完の大器がついに目覚めた。7番人気サトノアラジン(牡6、池江)が大外から豪快に差し切り、初のG1タイトルを手に入れた。高い才能を持ちながら、国内外で過去6度のG1では頂点に届かなかったが、良馬場、外枠、緩みないペースと好条件を味方に、川田将雅騎手(31)の手綱に応えた。4週連続G1勝利を狙ったルメール騎手の1番人気イスラボニータ(牡6、栗田博)は8着に敗れた。

 備えていたすべての力をついに発揮した。サトノアラジンが、大きなストライドで大外を伸びる。4コーナー15番手で迎えた直線。川田騎手のゴーサインを合図に、次々にライバルたちを抜き去った。最後に残ったロゴタイプも、ゴール寸前で首差かわしてみせた。

 香港を含めて7度目のG1挑戦で、ようやくつかんだタイトル。栄光へと導いた鞍上が「やっと勝てました。本当によく頑張ってくれた」と実感を込めれば、池江師も苦しかった胸の内を明かす。「この馬でG1を勝てなければ、調教師失格と思っていた。本当にうれしい。ゴールで首差、出ていることを確認した時は狂喜乱舞でした」と声を弾ませた。

 ラスト3ハロン32秒台の脚を持つ能力の高さは、誰もが認めていた。だが、これまでは発揮できる環境が整わなかった。昨年の安田記念はスローペースに泣いて4着、秋のマイルCSは直線の不利で脚を使えず5着に敗れた。迎えた今年初戦の前走・京王杯SCも9着に惨敗。本番では7番人気まで支持を落としたが、池江師は愛馬の才能を信じて疑わなかった。


 「前走は道悪、スローペース、内枠の三重苦だった。能力が落ちたわけではない。馬場が良くて、外枠が当たった時は、確実に鋭い末脚を使っているし、今日もそうなるだろうと思っていた」。さらに、ロゴタイプが刻んだ緩みないペースも味方になった。

 待ち望んでいた勲章で、将来の海外遠征も含めて視界は広がった。「G1を勝てたことで確実に種牡馬入りできる。責任を果たせた」とひと安心した師は、今後のプランについても「いろんな選択肢を消さずに、オーナーと相談して決めたい」と話した。ついに目覚めた大器は、これからも“魔法の末脚”でファンを魅了していく。【木村有三】

<安田記念アラカルト>

 ◆池江泰寿調教師 安田記念は4回目の挑戦で初勝利。JRA・G1は今年の皐月賞(アルアイン)以来で通算18勝目。父・池江泰郎元調教師の17勝を超えた。JRA重賞は前日の鳴尾記念(ステイインシアトル)に続く2連勝で今年7勝目。通算69勝目。

 ◆6歳馬 昨年のロゴタイプに続く2年連続の勝利で通算12勝目。勝った12頭はすべて牡馬。

 ◆川田騎手 安田記念は15年モーリス以来2年ぶりの2勝目。JRA・G1は昨年のダービー(マカヒキ)以来で通算9勝目。JRA重賞は今年2勝目。通算57勝目。

 ◆ディープインパクト産駒 11年リアルインパクト以来の2勝目。JRA・G1は皐月賞(アルアイン)以来で今年2勝目。通算39勝目。JRA重賞は青葉賞(アドミラブル)に続く今年8勝目。通算152勝目。

 ◆関西馬 14年ジャスタウェイ以来3年ぶりの勝利。今年を含む過去10年は関西馬5勝、関東馬5勝。

 ◆前年4着からの巻き返しV サトノアラジンは昨年の安田記念4着から巻き返して優勝。05年4着→06年1着のブリッシュラック、06年4着→07年1着のダイワメジャーに続く3頭目となった。今年の4着グレーターロンドンが来年出走なら要チェック。

 ◆単勝7番人気 05年アサクサデンエン以来12年ぶりの勝利。通算6勝目。

 ◆勝ち時計1分31秒5 12年ストロングリターンのレースレコード1分31秒3に次ぎ、13年ロードカナロアと並ぶ2位タイの時計。

 ◆馬番14番 11年リアルインパクト以来の5勝目で単独トップ。2位は(6)番の4勝(グレード制導入の84年以降)。

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