<G1プレーバック:NHKマイルC>

 プレーバック日刊スポーツ! 過去のNHKマイルCを紙面で振り返ります。2004年は安藤勝己騎手騎乗のキングカメハメハがレースレコードとなる1分32秒5で、レース史上最大着差となる5馬身差をつけ圧勝しました。

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<NHKマイルC>◇2004年5月9日=東京◇G1◇芝1600メートル◇3歳◇出走18頭

 1番人気のキングカメハメハ(栗東・松田国)が圧勝劇を演じた。中団の外を追走し、安藤勝己騎手(44)が直線で仕掛けると、レースレコードとなる1分32秒5で突き抜けた。後続にレース史上最大着差となる5馬身もの差をつけ、力の違いを見せつけた。次走ダービー(G1、芝2400メートル、30日=東京)制覇がグッと近づいた。2着は直線で内から抜け出してきたコスモサンビーム(栗東・佐々木晶)。2番人気で母シーキングザパールに続くVが期待されていたシーキングザダイヤ(栗東・森)は、7着に終わった。

 ダービー制覇までがくっきり見えた。それぐらいの圧勝劇だった。次元の違う脚でキングカメハメハが飛んできた。坂下で安藤騎手が手綱をしごくと、一気に末脚が爆発し後続を引きちぎった。ゴール前では抑える余裕すらあった。96年タイキフォーチュンが記録したレースレコードの1分32秒6を0秒1上回るスピード決着。あまりの強さに衝撃を受けたゴール後の東京競馬場は、シーンと静まり返った。

 「強かった。こんなに楽に勝つとは思わなかった。この勝ち方ならダービーも大丈夫だと思う」。あん上はレース後、驚いていた。コスモサンビームの四位騎手も脱帽していた。「直線でやっと抜け出したと思ったら、はるか前に1頭いた」とあきれた。

 馬も落ち着いていた。そぼ降る雨に傘の花が咲いていた返し馬。スタンド側を悠然と歩いていた。上滑りする馬場にもバランスを崩さなかった。スタート直後、タイキバカラが向正面でガツンとすぐ内を暴走したが、アンカツは一瞬チラリと見ただけ。まったく慌てなかった。

 アンカツは初経験のマイルへの距離短縮だけを心配していた。道中ゆったり走っていたし、あっさり突き抜けた。取り越し苦労だった。「精神的に充実していた。終わってみれば、王者の競馬だった」と松田国英師(53)は笑顔を見せた。

 京成杯で3着に敗れたため、同じ中山の皐月賞は小回りと「縁起の悪さ」(松田国師)を嫌いパス。唯一の敗戦に馬が悔しがったのか、直後のけいこから馬が時計を縮め始めた。それまではレースで追っても最後にちょっと間に合う程度にしか差せなかった。ズルさはなくなり、自ら行く気になった。デビュー戦にまたがった安藤は前々走のすみれSに乗った際、「違う馬みたい。俊敏になった」と感じ取っていた。このレースではさらに「お利口になっている」とも評した。

 次は最大目標のダービーだ。「1歩リードしたと思う」。背中からつかんだ印象は、ズバリG1連覇だった。松田国師は安藤騎手と引き続きコンビを組むかどうか明言を避けたが、「右肩上がりの成長線を描いている。楽しみ」と話した。

 マイルからクラシックディスタンスを勝つことに、トレーナーとしてのこだわりがある。強い競走馬をつくり、種牡馬にする仕事に携るうえで、両方の距離実績を重視しているからだ。跳びの大きさからキングカメハメハは、2400メートルもこなせると考えている。

 01年のクロフネはマイルCを勝ったが、ダービーは5着に泣いた。02年タニノギムレットはマイルC3着からダービーを制した。マイル王&ダービー王の2冠の夢へ、松田国師が3度目の挑戦をする。「当厩舎の馬主さんのためにNHKマイルCとダービーはある」という言葉を実現するために。

※記録と表記は当時のもの

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