<日刊スポーツ賞シンザン記念>◇8日=京都◇G3◇芝1600メートル◇3歳◇出走15頭

 19年ぶりに雨中で行われた一戦は、8番人気の伏兵キョウヘイ(牡、宮本)が快勝した。スタートから最後方で直線勝負の策がズバリ。上がり3ハロンただ1頭36秒台(36秒7)の脚で、泥んこ馬場を制した。好騎乗の高倉稜騎手(25)は、13年中京記念(フラガラッハ)以来4年ぶりの重賞4勝目。人馬とも雨の中、明るい未来を見い出した。

 泥んこ馬場で作戦がはまった。キョウヘイはスタート後、すぐに後方待機。「他の馬と一緒に(ゲートを)出過ぎると変に力むところがあるし、わざと遅らせるような気持ちで出た」と高倉騎手。道中は脚をため、直線勝負に懸けた。激しい雨で、19年ぶりに重馬場(98年は不良馬場)まで悪化したのも幸運。他馬の脚が鈍る中、ためたキョウヘイの脚がさく裂した。2度目の挑戦で重賞初制覇は、鮮やかな差し切りで決めた。

 「うまくはまりました。気持ちいいです」と泥に汚れた顔を輝かせた高倉騎手は、4年ぶりの重賞4勝目。勝利を確信したゴール板を過ぎると、左手で力強くガッツポーズを作って声を上げた。「久しぶりに重賞を勝って、実感が沸いていない」と声をはずませ、無邪気な笑顔を見せた。

 格別の思いで口取りに参加した女性がいた。その横山真弓さんの息子、がんで21歳の若さで亡くなった恭兵さんが馬名の由来。真弓さんのブログを見た瀬谷隆雄オーナーから「(名前を)馬名につけさせてほしい」と連絡があったという。競馬が好きな恭兵さんが亡くなる前、最後に競馬場を訪れたのが05年のシンザン記念だった。「恭兵はシンザンが好きだったから」と真弓さんは感慨深げに話した。

 天国から見守る青年の思いも乗せた同馬は今後、5月7日のNHKマイルC(G1、芝1600メートル、東京)に向けてローテーションが組まれる。今回は中1週と間隔が詰まっていたこともあり、オーナーと相談した後、放牧に出される予定。宮本師は「東京みたいな馬場は合いそう。あとは良馬場になった時がどうかだけ」と期待を膨らませた。恭兵さんの後押しを受けたキョウヘイが、さらなる大舞台を目指す。【辻敦子】

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