世界一の馬をつくる夢へ-。JRA新規調教師試験の合格者が8日、発表された。7人が合格し、G1・6勝の武幸四郎騎手(38=フリー)も来年3月に転身することになった。父は今年8月に亡くなった元騎手、調教師の武邦彦さんで、兄は通算4000勝騎手の武豊(47)。メイショウマンボでG1・3勝など騎手でも輝かしい実績を残してきたが、来年からは調教師として新たな「兄弟ストーリー」を描いていく。

 武幸四郎騎手が新たな一歩を踏み出した。8日午前10時に合格が発表されると、携帯電話が鳴りやまなかった。「まずは合格できたことにほっとしています。応援してくださった方も本当に多かったので・・・。それと同時に、2月で騎手をやめるんだなという気持ちと。両方です」。元騎手、調教師の武邦彦さんの四男で、武豊騎手の弟は、率直な思いを口にした。

 5年前から調教師への転身を考えていた。「ジョッキーになりたいと思ってこの世界に入りました。騎手をしながら調教に乗りますが、その中で調教にも興味があって。どういう過程でいったら走れるのかとか、ずっと馬に携わっていたいというのがありました」。父・武邦彦さんの歩んだ道を志すことになった。

 1次試験を2度目の受験で突破し、2次試験は一発でクリア。初めての受験だった昨年、不合格だった時にも、父からは「また頑張れ」とだけ声をかけられた。その父が、今年8月に亡くなった。「調教師としても人間としても、一生の目標」。ずっと見てきた背中をこれから目指していく。

 「母はとにかくホッとしており、父がお世話になった馬主さんからの祝福に対して涙していたと聞いています。責任のある仕事で、いろんな人の力をもらわなければならない。父を見ていたら馬主にも、牧場の人にも、厩舎スタッフにも。それと騎手にも、みんなに好かれていた。そんな調教師になりたい」

 今年で騎手としては20年目の節目の年。これまでG1を6勝し、13年にはメイショウマンボでG1を3勝した。「20年騎手をやっていて、ひとつ勝つのも大変だということが、身に染みて分かっています。その馬の能力で、最大限の結果が出せるように一生懸命やっていきたい」。目標とする父の姿を胸に、一歩一歩進んでいく。【辻敦子】

 ◆武幸四郎(たけ・こうしろう)(1)1978年(昭53)11月3日(2)38歳(3)栗東・フリー(4)2回目(5)5年くらい前から調教師の道を考えた(6)武邦彦元調教師(7)未勝利でも大きいレースでも、その馬が最大限頑張れるよう、一生懸命努めたい。

 ◆略歴の見方(1)生年月日(2)年齢(3)所属(4)受験回数(5)志望動機(6)目標(7)抱負

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