<有馬記念>◇27日=中山◇G1◇芝2500メートル◇3歳上◇出走16頭

 8番人気の伏兵ゴールドアクター(牡4、中川)が4連勝でG1初制覇を果たした。勝ちタイムは2分33秒0。デビュー12年目の吉田隼人騎手(32)はJRA・G1・39回目で、06年開業の中川公成師(53)は7回目の挑戦でともに初勝利。

 12万の大歓声が新たな主役の誕生を見届けた。失速するゴールドシップの脇から真っ黒な青鹿毛のゴールドアクターと吉田隼が加速していく。「手応えは抜群だったし、伸びると思った。すごい歓声だった。自分もがむしゃらに叫びながら追ってました」。追いすがるサウンズオブアースを首差退けると、左手の指を天に突き上げる。「こうなるのを夢見てやってきた。騎手をやってて良かった」。殊勲の鞍上はつぶらな瞳を輝かせた。

 コンビを組んだ昨年8月札幌の500万条件から7戦6勝。「前走よりも背中が良かった。この馬には僕が一番うまく乗る自信がある。スタートで出していっても折り合う自信があります」と豪語した。先行馬が上位を独占し、スローペースからのロングスパート勝負という展開。ハナに立たんばかりの好スタートを決め、インの2列目のポジションを奪い取ったのが勝因だった。

 アクターは14年菊花賞3着からの長い休養を、鞍上も執念で直前のアクシデントを乗り越えた。「東京で蹴られたときは目の前が真っ暗になった」。先月29日の馬場入場後、他馬に蹴られ、右足を負傷。有馬記念の騎乗に黄信号がともった。1週前にはギプスをはめていたが、痛み止めの注射や薬で対処。当週に入って騎乗を再開し、チャンスをモノにした。デビュー時から“吉田豊の弟”として注目されてきたが、G1では2度の2着が最高。昨年は菊花賞しか騎乗できず、G1騎乗機会は減っていた。「信頼して乗せてくれたオーナー、厩舎に感謝してます」と言葉を選んだ。

 名種牡馬となった父スクリーンヒーローと対比されるが、この日の走りは98、99年の有馬記念を連覇した祖父グラスワンダーをほうふつとさせた。中川師は今後について「春の天皇賞を第1目標にしたい。さらに強くなっていくと思うので応援よろしくお願いします」とさらなる成長を期待する。吉田隼も「来年もこの馬とロマンを見せたい。ファンを増やしていきたい」と力強く宣言する。この日はスターホースがターフを去った。吉田隼とゴールドアクターが来年の主役に躍りでる。【木南友輔】

 ◆吉田隼人(よしだ・はやと)1983年(昭58)12月20日、茨城県生まれ。04年デビュー。06年福島牝馬Sをロフティーエイムで重賞初制覇。JRA通算634勝(重賞9勝)。兄はG1・9勝の吉田豊騎手(40)。160センチ、48キロ。

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