<有馬記念>◇27日=中山◇G1◇芝2500メートル◇3歳上◇出走16頭

 引退レースだった1番人気ゴールドシップ(牡6、須貝)は8着だった。

 ゴールドシップらしい、豪快な負けっぷりだった。ラスト1000メートルで最後方からの大外ロングスパート。すっかり白くなった馬体が先行勢に襲いかかると、12万人をのみ込んだ観客席が大歓声に揺れた。しかし・・・。まくりきれない。どれだけしごかれても、3コーナーで3番手まで押し上げるのが精いっぱい。燃え尽きるように8着に沈んだ。

 誰も責めなかった。夕闇の引退式では「ありがとう」と温かい声に包まれた。記念撮影をごねて立ち止まり、いななく。最後まで気ままだ。だから愛された。

 壇上で内田騎手は涙を流し「自分の中で悔いのない乗り方ができた」と言い切った。13年ジャパンC以来2年ぶりにして最後の手綱。発馬は無難だったが、二の脚がつかなかった。「やったかなと思ったけど・・・。現実は厳しかった。もっと前に行きたかったけど、意外と行けなかった。見せ場だけになった」。

 負ける姿さえ、愛された。栗東の厩舎には「ゴールドシップ様」の宛名で何百通も手紙が届いた。中でもスタッフの胸を打った1通がある。15着惨敗で初めて掲示板を外した13年ジャパンCの直後。「あんなに強い馬でも、これだけ負けることがあるんだと、逆に勇気づけられました」。心の病を抱えた女性からだった。負けても負けてもくじけない姿が共感を呼んだ。

 来年から北海道新冠町のビッグレッドファームで種牡馬になる。引退式後は経由地の茨城県の鉾田トレセンへ移動した。約10億円(70株)のシンジケートが組まれており、馬産地の期待も高い。須貝師は「お疲れさんやね。また、こういう馬をつくっていく責務がある。いい子を出してほしい」と目を細めた。産駒のデビューは19年夏。みんなが楽しみに待っている。血を受け継ぐ、やんちゃな子に会える日を。【太田尚樹】

<ゴールドシップ・アラカルト>

 ☆歴代獲得賞金3位 13億9776万7000円(付加賞含む)はテイエムオペラオー、ディープインパクトに続く史上3位。

 ☆JRA・G1・6勝 史上最多タイの7勝に並ぶことはできなかったが、ブエナビスタやオルフェーヴル、ジェンティルドンナと並ぶ6勝を挙げた。

 ☆ドリームレース3勝 ファン投票レースに強く、12年の有馬記念、13、14年の宝塚記念を制した。他にスピードシンボリ、グラスワンダー、オルフェーヴルがいる。

 ☆JRA賞 12年の皐月賞と菊花賞を勝ち最優秀3歳牡馬に選ばれた。

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