<菊花賞>◇25日=京都◇G1◇芝3000メートル◇3歳◇出走18頭

 サブちゃんが泣いた、笑った、歌った!! 25日、京都競馬場で行われた牡馬クラシック3冠の最終戦、第76回菊花賞で、5番人気キタサンブラック(清水久)が制し、G1初制覇。オーナーで歌手の北島三郎(79=登録上の名義は大野商事)も12度目のG1挑戦での初V。表彰式後、公約していた大ヒット曲「まつり」の一節をターフで熱唱。京都競馬場に集まった5万2689人を沸かせた。

 待ちに待った熱唱は、サブちゃんのひと言から始まった。「私、公約したんですね」。観客から「まつり!!」の声がかかる。5万2689人の手拍子に乗って、アカペラでまつりが始まる。「まつりだ、まつりだ、まつりだ、キタサンま~つり(中略)これが競馬のまつりだよ♪」。名曲「まつり」のサビの部分を菊花賞版で大サービス。スタンドからは拍手と歓声でたたえられた。

 レースは馬主席から双眼鏡で見ていた。キタサンブラックはペースの上がった2周目4コーナー過ぎに中団から進出。「私、奇声を上げていました。隣、近所の迷惑をまったく考えずに」。最後の直線では内から末脚を伸ばし、2番人気リアルスティールを首差しのいだ。万歳と絶叫。自然と涙がこぼれ落ちた。

 大役を終えたサブちゃんは満足だった。「こういう大事なところで歌うのは失礼かなと思ったのだけれど、うれしかったし、お客さんも喜んでくれたかな、と。表彰式で歌ったのは、多分私が初めてでしょう」と笑いながら言った。前走のセントライト記念を勝ったとき「菊花賞を勝ったら、歌います」と公約。北島音楽事務所を通して、先週JRAにお願いしていた。

 距離不安もささやかれたが、馬に自信があった。見た瞬間にほれ込んで買った馬だ。「目と顔を見て、この馬を買いました。写真を撮るときに暴れずポーズを取る。スターの素質がある」。3歳のクラシックに出走する権利は、前年の10月24日までに登録をしなくてはいけない。登録に間に合わなかったキタサンブラックは今年皐月賞、ダービーに続き、追加登録料200万円を払って出走する権利を得た。

 個人名での所有を含めると馬主歴は52年。どれだけ馬を愛していたか、誰もが知っていた。「言葉では表せないくらいの感動。こういう立派な賞をいただき、生まれて初めてこんなに感動しました」。感無量だった。「転んでも前に進むしかないのは、芸能界も競馬も同じ」と言う。愛馬の次走は未定。さらなる大舞台の期待も膨らむ。「(勝ったら)また歌わなくてはいけないかなぁ、と」。ユーモアたっぷりの表現で締めくくった。【三上広隆】

 ◆北島三郎(きたじま・さぶろう)本名・大野穣(みのる)。1936年(昭11)10月4日、北海道知内町生まれ。62年に「ブンガチャ節」でデビュー、同年に「なみだ船」で日本レコード大賞新人賞。86年に「北の漁場」で同賞最優秀歌唱賞を、91年には紺綬褒章を、それぞれ受賞。NHK紅白歌合戦は13年まで50回出場した。161センチ、56キロ。血液型O。

 ◆主な有名人馬主のG1勝ち 女優の故高峰三枝子さん所有のスウヰイスーが52年桜花賞、優駿牝馬を制覇、初の中央競馬牝馬クラシック2冠馬となっている。近年では07年ヴィクトリアMを歌手前川清(名義は有限会社前川企画)所有のコイウタがいる。

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