「神の産物」の走りに大注目だ。7日阪神で桜花賞トライアル(TR)のチューリップ賞(G3、芝1600メートル、3着までに優先出走権)が行われる。珍しい斑(ぶち)毛で人気の白毛馬ブチコ(牝、音無)が武豊騎手(45)とのコンビで出走。競走馬の遺伝子研究の第一人者である戸崎晃明博士(45=競走馬理化学研究所遺伝子分析室専門役)がメカニズムを分析した。

 ブチコの特徴である明瞭な黒っぽい茶のぶちは、競走馬の遺伝子研究の第一人者である戸崎博士をして「神の産物」と言わしめた。

 白毛以外の毛色の遺伝メカニズムは、科学的におおむね解明されている。白毛に関しても解明が進み、ブチコが属するシラユキヒメ一族は、KITと呼ばれる遺伝子のDNA変異によって白毛になることが分かっている。ただ白毛全般については未解明の部分も多く、加えてぶちの出現には現在のところ「偶然」という言葉でしか表せない。戸崎博士は「偶然に、色素細胞の一部が表皮に出たものと思われます。メカニズムがあるかもしれませんが、まだ明らかとなっていません」と話す。

 ブチコの姉マーブルケーキや1歳の弟(いずれも白毛)にもぶちが見られ、こちらは薄茶色だ。ブチコはアニメ映画「101匹わんちゃん」で知られるダルメシアンに似た、黒ぶちの印象が強烈だ。異なるぶちの色は「本来個体がもっている色の違いが原因」という。白毛馬は色素細胞が表皮に到達できないため、生まれつき毛が白いが、潜在的に色素を産生する能力はもっている。その色は黄色メラニンと黒色メラニンの多少によって分類され、鹿毛や栗毛、黒鹿毛などと呼ばれる。ブチコの原毛色は黒色メラニンが強く、マーブルケーキは黄色メラニンが強いため、これらが偶発的に表皮に出現し、異なる色のぶちが出たというわけだ。

 桜花賞を目指すブチコは重賞3勝した一族の出世頭ユキチャンを超える活躍が期待されるが、引退後には母として後継を残す仕事が待っている。ぶちは子供に遺伝するのだろうか。

 戸崎博士は「ぶちは偶然何かの拍子に現れたものであるため、基本は白毛だと思います」と予測する。犬などではさまざまな模様を人間が意識的に作ってきた。しかし競走能力向上に特化してきたサラブレッドで、ブチコのような個性的な模様は希少である。今後、彼女はどのような展開で驚かせてくれるのか、競馬ファンのみならず、科学者も注目している。【岡山俊明】

 ◆ブチコ 2012年4月27日、北海道安平町生まれ(生産者ノーザンファーム)。父キングカメハメハ、母シラユキヒメ(サンデーサイレンス)。栗東・音無秀孝厩舎所属、馬主は金子真人HD。昨年10月25日デビュー。5戦2勝。総収得賞金1565万円。

 ◆戸崎晃明(とざき・てるあき)1969年(昭44)10月29日、栃木県宇都宮市生まれ。競走馬理化学研究所遺伝子分析室専門役。博士(薬学、農学)。ウマのゲノム解読、競走能力(距離適性)、遺伝子ドーピング問題などを研究。日本ウマ科学会学会賞受賞。遺伝学の視点から、サラブレッド種の競走能力解明に挑む。

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