最先端グッズ「ウマノマスク」で集中力アップ

 
 

「ウマノマスク」は優れもの!? 「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」で普及し始めた馬具「コンプレッションフード」について調査した。天皇賞・春の出走馬も使用する最先端グッズの効果のほどなど、現場のホースマンに聞いた。【取材・構成=辻敦子】

競馬ではさまざまな馬具が開発されてきた。代表的なものはメンコ、シャドーロール、チークピーシズ。レースで力を出し切れるよう工夫を凝らしてある。最近、珍しい馬具を見かけるようになった。

表現するなら馬用マスク? 今、社会的に話題の白いマスクではなく、覆面レスラーのマスクだが。正式名は「コンプレッションフード」という。メンコは耳を覆い、音に驚いたり砂をかぶるのを嫌がる馬に着けるもの。コンプレッションフードは耳の部分が空いていて、顔だけを覆う形状だ。使用している安田隆厩舎で見せてもらうと、スポーツ用のアンダーウエアのような素材。ぴたっと密着し、伸縮性もある。

コンプレッションの和訳は「圧迫する」。コンプレッションウエアは着圧ウエアのことで、筋肉の感覚を調整し集中力を高める効果があるという。馬のコンプレッションフードはまさにその効果を利用したもの。ある騎手は「1度、調教で着けなかったことがあったが、着けている時と比べると、落ち着きが違いました」と言うほど。個体差はあるが効く馬にはてきめんらしい。

人間でいえば鉢巻きのようなものか。受験勉強、運動会など集中したい時に鉢巻きで頭部を引き締める。気合を入れて目の前のことに臨むという意味で、使用目的は似ている。

高松宮記念3着のダイアトニック(牡5、安田隆)は昨年10月、重賞初勝利となったスワンSで着用した。スタートが課題だったが、使い始めるとゲートが安定した。安田隆師は「ゲートが悪い馬に着けたらおとなしくなった。顔が引き締まる感じ。顔に集中できるから落ち着けるのでしょうね」と説く。担当の岩本助手も「そわそわしていたので1度着けてみたら、おとなしくなりました」と話していた。

天皇賞・春に出走するミライヘノツバサ(牡7、伊藤大)も16番人気で勝利した前走ダイヤモンドSで着用していた。無観客競馬でもパドックの周回はテレビ中継され、馬券のチェックポイントとして重視するファンも多い。“マスク”で集中力が増している馬が目に留まるかもしれない。

 [2020年04月28日 08時43分 紙面から]

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