テリトーリアル師に贈るV 低評価覆す/小倉大賞典

テリトーリアル(左)が小倉大賞典を制した(撮影・梅根麻紀)
テリトーリアル(左)が小倉大賞典を制した(撮影・梅根麻紀)

<小倉大賞典>◇小倉=21日◇G3◇芝1800メートル◇4歳上◇出走16頭

今月いっぱいで定年を迎える西浦勝一調教師(70)が、ラスト週を前に、テリトーリアル(牡7、西浦)で重賞制覇を果たした。単勝11番人気の低評価だったが、好位からのロングスパートで堂々と押し切った。

鞍上の石川裕紀人騎手(25=相沢)は19年札幌2歳S(ブラックホール)以来4度目のJRA重賞制覇となった。

   ◇   ◇   ◇

愛馬を励まし、そして祈った。「外から人気馬が来ていたので必死でした」。石川騎手は手綱を懸命に押し、右ムチを入れる。テリトーリアルはそれに応え、1番人気ボッケリーニを鼻差抑えた。「根性を出して、最後までよく頑張ってくれました」。11番人気の低評価を覆したパートナーをたたえた。

テリトーリアルにとっては、西浦厩舎での“ラストラン”だった。そんなメモリアルなレースでの重賞初制覇。担当の石橋直樹助手は涙で愛馬を迎えた。

かつてジョッキーとしても活躍した西浦師は、若手騎手を積極的に起用してきた。昨秋、テリトーリアルが東京でオクトーバーSを勝った時、手綱を託したのが関東の若手・石川騎手。以降、今回まで5戦連続で起用。それが自身の引退直前に実を結んだ。

「よくしのいでくれた。石川君は最後の最後にこの馬のいいところを引き出してくれて、よく勝ってくれた。この馬だけでなく、厩舎が一丸となって競馬を盛り上げようと頑張ってくれた。それが最後に報われましたね」

コロナ対策もあり阪神で観戦していた西浦師は感慨深げだった。人馬を愛し続けたホースマンに、競馬の神様がほほえんだ。【岡本光男】

 [2021年02月22日 06時00分]

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