【連載5】エフフォーリアかつて日陰の存在も今は「100点」/ダービー

鹿戸厩舎の先頭に立って運動するエフフォーリア(撮影・丹羽敏通)
鹿戸厩舎の先頭に立って運動するエフフォーリア(撮影・丹羽敏通)

ダービーの主役はかつて日陰の存在だった。エフフォーリアを所有する(有)キャロットファームの秋田博章社長は「印象がね、ないんですよ」と豪快に笑った。かつてはノーザンファーム場長として大牧場の躍進を支え、今はクラブ法人を統率する。同馬が1歳7月時点で設定された募集価格は2800万円(1口7万円)。1億円近い募集馬のいる一口クラブの中でも、安価の域を出ない馬だった。

当時、牧場全体の評価は共通していた。血統はいい。でも、緩い。秋田社長は「(1歳夏まで過ごす)イヤリングにいた頃もそういう認識だったようです。育成したノーザンファーム空港牧場のスタッフたちも、ここまでの馬になるとは・・・、と言っているくらいですから」と話す。後肢の筋肉の発達が遅く、動きも目立たなかった。

でも、ふと思う。「成長段階でけがなどをして、悪い印象が残っている馬もいますからね。目立たないことは一概に悪いことでもないんだな、と」。デビュー4連勝。一戦ごとに広がる着差が示すのは、止まらない成長だ。「ずっと、順調です」。共同通信杯後も、皐月賞後も、3回ずつノーザンファーム天栄を訪れて馬体をチェックした。「トモに筋肉がついて力強さが出ましたよね。体がしっかりして、共同通信杯の頃に比べて疲労の出方も少なくなりました。立ち写真を見ても、いい馬。現状で100点を与えられる」。

27日14時。いよいよ、枠順も決まった。平凡と評された馬は、胸を張って大舞台に送り出せるほど頼もしくなった。秋田社長は「本命視される馬で出られるダービーですからね。古馬になってもっと成長するでしょうし、不安がゼロな馬はいないけど、楽しみです」と、17年レイデオロ以来となるダービー2勝目を望んだ。無敗2冠達成へ。胸高まるゲートインの時間が迫ってきた。(おわり)

◆秋田博章(あきた・ひろあき)1948年(昭23)2月25日、北海道新冠町生まれ。静内高、岩手大学を卒業後、72年に日高地区の農業共済組合で獣医師となる。80年に旧社台ファーム入社。93年にノーザンファームの場長に就任。13年に同顧問へ。15年から(株)キャロットクラブ取締役となり、18年12月に(有)キャロットファーム社長就任。実家は重賞2勝馬ファストタテヤマなどを輩出した秋田牧場(北海道新冠町)。趣味は仕事、マージャン、酒。

 [2021年05月28日 10時26分 紙面から]

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