【チャンピオンズC】テーオーケインズ史上2頭目連覇へ 広いストライドが好調の証し

開場一番に坂路で追い切るテーオーケインズ
開場一番に坂路で追い切るテーオーケインズ

<追い切りの番人>

連覇へ死角なし! チャンピオンズC(G1、ダート1800メートル、4日=中京)の追い切りが11月30日、栗東トレセンで行われた。

G1注目馬の調教を深掘りする「追い切りの番人」では、マイクこと藤本真育記者が、ダート界の“帝王”テーオーケインズ(牡5、高柳大)を徹底チェック。調子のバロメーターを示すストライドの大きさから「好調」と判断した。

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史上2頭目の連覇へ、テーオーケインズが助手を背に坂路を駆け上がった。馬なりのまま、4ハロン54秒3-12秒3。雄大で弾むようなフットワークを見せた。高柳大師は「1週前(11月23日)にしっかりとやっているので、今週は折り合い、反応の確認だけ。いい動きだった」と納得の表情を浮かべた。

ケインズには、調子のバロメーターがある。それは“ストライド”の大きさだ。「調子が良くない時はストライドが伸びず、動きが小さくなる。逆に、調子がいい時は『そんなに伸びるのか』ってくらい大きくなるんだよね」と師。「状態が良くなかった」と話す2走前の帝王賞(4着)時と、今回との違いを検証してみた。

比較したのは、松山騎手が騎乗してしっかりと時計を出した1週前Cウッドでの追い切りだ。映像を見て完歩を数えると、帝王賞時(6月22日)のラスト2ハロンは、55完歩。今回の1週前(11月23日)は53完歩と2完歩少なかった。2ハロン(400メートル)÷完歩数でストライドの長さを計算すると、帝王賞時は約727・2センチで、今回は約754・7センチ。つまり約27・5センチも、1完歩=ストライドが大きかった。完歩の大きさが状態の良さに比例する同馬にとっては、心強い材料になる。

さらに今回から調整法に新たな“スパイス”を加えている。これまでとは違い、レースに向けての立ち上げ時に、普通キャンターから松山騎手がまたがって調整。体を大きく使わせる意図で、体調アップを図ってきた。

「帝王賞の時は立ち上げの時にうまくいかなかったので、しっかりとケアをしながら、この中間から普段からジョッキーにまたがってもらっている。改めてそのキャンターを見ていると、大きなフットワークで体の使い方がいい」。鞍上との緊密な連携も、体の動作に好影響をもたらしている。

「状態はいいね。昨年と同じくらいで出走できそう」と師。1年前は、6馬身差の圧倒的パフォーマンスでダート界の帝王へと輝いた。ストライドの大きさを見る限り、今年も好調と判断していい。連覇へ、死角はなさそうだ。【藤本真育】

◆完歩 歩幅のこと。人間の平均は歩行時は70センチで、走行時は約120センチ。陸上男子100メートルの世界記録保持者ウサイン・ボルトは、最速時点で275センチと判明している。馬の歩幅はレース時では約7~8メートルで、個体差、またスピードによる差はあるが競走馬の場合、400メートルで56~60完歩を要すると言われている。

<松山騎手一問一答>

-前走のJBCクラシックを振り返って

松山騎手 スタートもしっかりと出てくれましたし、馬も落ち着いていて折り合いもつき、リズム良く運べました。直線ではしっかりと反応してくれて、強い競馬をしてくれました。

-昨年のチャンピオンズCは

松山 ポジションも思っていた所を取ることができましたし、抜け出してからの脚がすごかったです。強かったですね。

-昨年からの成長は

松山 海外の競馬も経験しましたし、いろいろな競馬場に行っていることもあり、馬が大人になっています。だいぶどっしりしたなと思います。

-意気込みを

松山 中京は得意なコースですし、昨年のようなレースができれば。

 [2022年12月01日 11時02分 紙面から]

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