【G1復刻】メイショウドトウ6度目挑戦で大願成就 天敵オペラオー超え果たす/宝塚記念

2001年6月25日付 日刊スポーツ紙面
2001年6月25日付 日刊スポーツ紙面

<宝塚記念>◇2001年6月24日=阪神◇G1◇芝2200メートル◇3歳上◇出走12頭

ドトウがやっとオペラオー超えを果たした。単勝2番人気のメイショウドトウ(牡5、栗東・安田伊)は、直線先頭からそのまま押し切って快勝、悲願の初G1制覇を達成した。昨年のこのレースから5回連続テイエムオペラオー(牡5、栗東・岩元)の前に屈してきたが、6度目の挑戦で大願成就となった。

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ゴールまであと150メートル。安田康彦騎手(28)が右ステッキをビシビシたたき込む。「頑張れ、負けるな!」。叱咤(しった)にこたえたメイショウドトウは、最後の力を振り絞って坂を駆け上がり、ゴール目指して突き進む。最大唯一のライバル、テイエムオペラオーはまだ後方でモガいている。夢にまで見たゴールに飛び込んだ瞬間、安田康は左手の指を1本立て、そして何度も何度もガッツポーズを作った。

G1挑戦6回目にしての悲願達成。しかも過去5回とも前を走っていたオペラオーに、1馬身1/4差をつけての完勝。思わず「うれしい。騎手をやめてもいいぐらいうれしいよ」の言葉が飛び出した。

同騎手が検量室から出てくると、集まった関係者、報道陣から異例の拍手がわき起こった。1度はドトウに勝たせたかった-そんな思い入れだろうか。

「絶対に負けられないと思っていたから、最後は必死に追ったよ」。展開については「すべて作戦通り。道中の(各馬の)並びまで思っていた通りだった」と顔をクシャクシャにした。

互角のスタートから4番手の外につける。最初の直線で後ろを振り返りオペラオーの位置を確認すると、後はハミを外して折り合いに専念。「スローの流れだけはイヤだったので」と3コーナーすぎに自分から動いて出る。4コーナーでは早くも先頭に並びかけていた。「オペラオーがいつ来るかなあ、と思っていたが(最後まで)視界に入ってこなかった。勝ってみると、こんなに簡単に勝てるのかなあ、という感じ」。同騎手が乗るようになった昨年のジャパンCからでも3連敗。それを含めて勝てそうで勝てなかった過去5回が、まるでウソのようだった。

安田伊佐夫師(56)の満面に笑みがはじけた。きゅう舎開業22年目で初めてのG1制覇、それも史上2組目の調教師-騎手父子制覇のおまけつき。松本オーナーと抱き合って喜びを爆発させた。「わずかな差で負け続けていて悔しかった。具合が良かったし、距離的にも今回が一番チャンスだと思っていた」。連日調教をつけた中林健助手、昼も夜もなく世話をし続けた千田智久きゅう務員もガッチリ握手。「1度は勝ちたいと思っていた。ここしかないと思ってやってきたよ」(同きゅう務員)の究極の仕上げが、ベストの508キロ(マイナス6キロ)に表れていた。

秋は10月28日の天皇賞(東京芝2000メートル)からの始動が有力。今回勝ったことで外国産馬ながらトライアルを使う必要はほぼなくなった。「王座交代したので、これからはこっちが連勝できるように頑張りたい」と安田康。まだ1度、勝っただけ。借りは4つ残っている。オペラオーとの宿敵対決はこれからが本番だ。【栗田文人】

◆メイショウドトウ ▽父 ビッグストーン▽母 プリンセスリーマ(アファームド)▽牡5▽馬主 松本好雄▽調教師 安田伊佐夫(栗東)▽生産者 P・ハーディ(アイルランド)▽戦績 24戦10勝▽総収得賞金 8億3593万2000円▽主な勝ちクラ 2000年中京記念(G3)金鯱賞(G2)オールカマー(G2)2001年日経賞(G2)

(2001年6月25日付 日刊スポーツ紙面より)※表記は当時

 [2022年06月24日 21時55分]

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