【G1復刻】ウオッカ7馬身ぶっち切り大楽勝 武豊「牝馬の枠を超えている」/ヴィクトリアM

<ヴィクトリアマイル>◇2009年5月17日=東京◇G1◇芝1600メートル◇4歳上牝◇出走18頭

ミス東京は強かった。強すぎた。ウオッカ(牝5、栗東・角居)が単勝1・7倍の断然人気に応え、7馬身差の大楽勝劇を演じた。府中のG1は歴代最多の4勝目。獲得賞金は9億円を超え、歴代賞金女王の座に就いた。22年連続G1勝利を果たした武豊騎手(40)は、牝馬G1完全制覇。レース後、谷水雄三オーナーから今年いっぱいで引退のプランが明かされた。

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武豊とウオッカについてこられるものは、いなかった。坂の途中。ブーケフレグランスとショウナンラノビアの間を割って出た。反応の良さは、あん上の想像をはるかに上回っていた。気を抜かないように打った右ムチに、差をどんどん広げた。残り150メートルで3馬身、100メートルで5馬身。差はさらに開き、最終的に7馬身の差がついた。「気持ち良かった。ここは勝たないといけないと思った」。武は、久々に晴れ晴れとした表情を見せた。

見た目以上に、厳しいレースだった。メーンレースの2時間ほど前から、まともに立っていられないほどの強風が吹いた。「9Rあたりから風がすごかった。ペースだけは間違わないように、なるべく馬群に入れようと思った」。平均風速9メートル、レース時の最大瞬間風速は15・9メートル。しかも、向かい風。集中力が途切れやすく、パワーのない牝馬にとっては酷な条件だ。だが、ウオッカに常識は通用しない。33秒4の脚を使い、敢然と立ち向かった。前走のドバイDFは、最後に自分から走るのをやめていた。「もう終わったのでは?」。ささやかれた風評を吹き飛ばした。

武にとっても負けられないレースだった。思えば、昨秋もそうだった。2月のフェブラリーSを勝って以来G1から遠のいていたが、「世紀の名勝負」と言われた天皇賞をウオッカで制して存在感を見せつけた。今年も重賞3勝してはいたが、G1はまだだった。「苦しい時はいつもこの馬が助けてくれる。僕自身も吹っ切れた感じはある。ここにまた立てるように頑張らないと」。これで牝馬G1完全制覇、そして連続G1勝利を22年に伸ばした。今年もまたウオッカに助けられた。

「ウオッカは牝馬という枠を超えている。この馬の背中は渡したくない」。この日の勝利で獲得賞金は9億1608万9800円に達し、ホクトベガを抜き賞金女王の座に就いた。5冠はメジロドーベルと並ぶ牝馬最多タイ。さらに東京競馬場のG1・4勝目は牡馬も含めて単独トップだ。

次走は6月7日東京の安田記念(G1、芝1600メートル)。オーナーからは年内引退のプランが明かされた。あと何度見ることができるのか。次も、その走りをしっかり目に焼き付けたい。【和田美保】

◆ウオッカ ▽父 タニノギムレット▽母 タニノシスター(ルション)▽牝5▽馬主 谷水雄三▽調教師 角居勝彦(栗東)▽生産者 カントリー牧場(北海道新ひだか町)▽戦績 21戦8勝(海外3戦0勝)▽総収得賞金 9億1608万9800円(海外2868万9800円)▽主な勝ちクラ 06年阪神JF(G1)07年チューリップ賞(G3)ダービー(G1)08年安田記念(G1)天皇賞・秋(G1)

(2009年5月18日付 日刊スポーツ紙面より)※表記は当時

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