首相の中東歴訪で日本馬のサウジ遠征現実味/コラム
来月29日にサウジアラビアで行われるサウジC(G1、ダート1800メートル)と、同日開催の5つのサポート競走の登録馬が発表されました。
日本からは合計6競走に延べ61頭がエントリー。優勝賞金1000万ドル(約11億円)のサウジCにはG1馬のクリソベリル、ケイティブレイブ、ゴールドドリームなどが登録し、芝のネオム・ターフC(芝2100メートル)の登録馬リストにはアドマイヤジャスタ、ディアドラ(サウジCと重複登録)、ラヴズオンリーユーなどの名前が見られます。
日本とサウジアラビアの間では競走馬の検疫協定が未締結だったため、登録馬の関係者の中にも遠征には懐疑的な声があったようです。これを解決? したのは、安倍首相によるサウジアラビアを含む中東歴訪だったかもしれません。農水省は15日に「日本からサウジアラビアへ輸出される国際交流競走出走馬の家畜衛生条件の締結」を発表し、日本からサウジへの出国に関しての障害を取り除きました。帰国に際してはUAEなど日本が認めている第三国での検疫が必要になりそうですが、この通達によって日本馬の遠征が現実味を帯びてきました。
これによって影響を受けそうなのが2月22日に国際競走を予定している隣国のカタールです。ドバイに追いつき追い越せと競馬に力を入れており、アラブ諸国と敵対するイランとの親密ぶりが嫌われて17年6月からサウジ、UAEなど周辺諸国と国交断絶状態が続いています。
今年はサラブレッドの招待レースを4つに増やして欧米や日本からの出走馬を募っていますが、現状ではサウジの派手なアクションに押されているようです。
【奥野庸介】(ターフライター、ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)