ブラスト米本代表「トライする価値あり」/凱旋門賞
凱旋門賞(G1、芝2400メートル、6日=パリロンシャン)にブラストワンピース(牡4、大竹)を出走させる(有)シルクレーシングの米本昌史代表(45)がインタビューに応じた。同馬の可能性、凱旋門賞に対する思いなどを大いに語った。
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-ブラストワンピースの前走札幌記念はインから抜け出す豪快な抜け出し。狭いスペースをものともせず、ゴールまで伸びたレースを振り返っていただきたい
米本代表 川田騎手、大竹師と事前に話している中では、最内枠は一番引きたくない枠でした。一方で、2週前、当週と川田騎手にまたがってもらって感触をつかんでいただいたので、どんな乗り方をするか楽しみでもありました。あとでジョッキーはすごく大変でしたという話をされましたが、かなりタイトな中を抜け出してきてくれましたね。馬を欧州仕様に変えてくれたというか、新しいチャレンジに向けて結果もついてきたので、すばらしいレースをしてくれたと思っています。
-凱旋門賞は今年の早い段階から挑戦を表明していた大舞台。ここまでの道のりは
米本代表 有馬記念優勝の段階からこの挑戦がスタートしているんですよね。今年の過ごし方として、凱旋門賞を大きな目標にして、時間を逆算してどのレースを使ったらいいかなどを、陣営と綿密に打ち合わせしてきました。背腰の疲れが出やすかった馬ですが、成長しながらしっかりしてきて、回復がすごく早くなってきているのは現場からも聞いていました。(2走前の)目黒記念は59キロの重量という条件で走らせてみたいという考えがありました。当時はコンディション的にしんどい時期ではあったのですが、間隔的にも1つのステップとして捉えていましたね。札幌記念はもし嫌な負け方をしていたら、会員さんが大勢いらっしゃるし、立場として遠征をやめると言わなきゃいけないな、という覚悟はありました。(追い上げて3着の)フィエールマンとは通ってきた進路が違いましたが、狭いところを割ってこられたことや洋芝であったことといった、この先を考えやすい条件で最高の結果を出してくれました。
-川田騎手は前走がブラストと初コンビ。米本代表から見た鞍上のすごさとは
米本代表 馬とのコンタクトをすごく丁寧にとってくださる人。前走に関しても、最初に乗っていただいたとき、当週に乗ったとき、そこからレースに向けて、そして本番に向けてはどうしようとか、細かくフィードバックをしてくれる。馬の特性を早くつかんでくれる騎手というイメージですね。
-ブラストワンピースの可能性をどのあたりに感じているか
米本代表 デビュー時から期待をしていた1頭ですし、馬も成長しています。前走の内を抜け出してくるタイトな競馬は、3歳時の毎日杯でも見せてくれていましたから。凱旋門賞は記念受験ではありません。血統はもちろん、走りのバランスの特性も専門家の方から聞いていても凱旋門賞に向いているんじゃないか、トライする価値があるんじゃないかと思わせてくれる。その思いが1年半くらい前からずっとありました。いざ、「行くぞ」となって現在まで順調に全てが進んでいるので、あとはレースを無事に迎えられればいいなと思っている毎日です。
-米本代表は12年1月にノーザンファームに入社し、14年8月に同代表取締役に就任。他業種からの転職組ではあるが、凱旋門賞はどのようなレースと捉えているか
米本代表 私自身はゲームの世界から入っていますからね。凱旋門賞を初めて生で見たのは、06年ディープインパクトの遠征の時。この業界に入る前に、いちファンとして見ていました。当時は遠いところのすごいレースというイメージしかありませんでした。オルフェーヴルは勝利に一番近かったですよね。今は挑む立場。凱旋門賞は重みというか、勝つために挑戦をしてきた先人の方々の思いが詰まっていると強く感じます。すごいレースなんだ、夢があるレースなんだ、と。今回、ブラストワンピースはフィエールマンとともにイギリスで調整しています。ニューマーケット調整はチャレンジ。この挑戦も先人の方々のいろんなノウハウもたまってきていて、それでも勝てないからベターを探してきた。過去の蓄積があっての今年です。結果が出たらいろんな方たちと一緒に喜びたいと思っています。【取材=松田直樹】