インディチャンプV「真のマイル王」へ/安田記念
<安田記念>◇2日=東京◇G1◇芝1600メートル◇3歳上◇出走16頭
福永祐一騎手(42=フリー)が騎乗した4番人気インディチャンプ(牡4、音無)がG1馬7頭を撃破し、G1初挑戦初制覇を飾った。好位から競馬を進め、逃げたアエロリットを首差かわした。勝ちタイムはレースレコードの1分30秒9。
今後は放牧に出され、マイルCS(G1、芝1600メートル、11月17日=京都)を目標にする。圧倒的な1番人気アーモンドアイ(牝4、国枝)は3着に敗れ、G1・6連勝を逃した。
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福永騎手に焦りはなかった。不思議なほど冷静でいられた。インディチャンプの力を信じていた。アエロリットがスイスイ逃げる。むしろそれで構わない。インディは抜け出すと遊ぶ癖があるため、好位4、5番手で進めた。最後はゴール前で差し切れると信じていた。
ゴール前。思惑通り、アエロリットを首差差し切った。アーモンドアイの猛追も抑えてゴールに飛び込んだ。「期待していた以上の走りでした。不思議なほど冷静に追えてました。日本で一番強い馬を負かしたのはただの偶然では出来ないと思う」と言い切った。
作戦は前夜決めた。G1・5連勝中のアーモンドアイ、7戦6勝のダノンプレミアムなどG1馬7頭の豪華メンバーが相手だ。インディは2走前の東京新聞杯で重賞を初めて勝ったばかり。パドックで音無師に伝えた。「3列目のインを取りたいんです」。逃げ馬の後ろに控えて、好位の内側から競馬を進める。「音無先生に余計なことを言われたらどうしようと思ったんですけれど、『任す』と言ってくれました」と、笑いながら打ち明けた。狙い通りの騎乗に「自分の中で出した答えで、その通りに乗れて勝てた。自分にとっても大きな自信になる」と胸を張った。
音無師も鞍上を絶賛した。「(福永が)言った通りのレースだったので、安心して見ていられた。でもこれだけのメンバー。いいレースをしてくれと思っていたけれど、まさか勝つまでは・・・。めちゃくちゃうれしいですね」。音無師にとっては区切りのG1・10勝目がアーモンドアイに勝っての勝利ならなおさらだ。
勝利の予兆はあった。前走マイラーズCは4着。反省を込めて、今回はしっかりと仕上げた。馬体重は前走と同じ470キロだったが、実が入っていた。「馬体に張りがあった。はち切れんばかりの馬体だった」と言う。4歳馬が想像を超える成長を見せていた。
音無師は「マイルにこだわって使いたい」と今後を見据える。急成長でつかんだ春のマイル王が、「真のマイル王」に君臨することを目標にする。【三上広隆】