水島晴之「G1の鍵 その一瞬」

【宝塚記念】イクイノックスが横綱相撲をすればジェラルディーナの出番/水島コラム

宝塚記念は現役最強馬イクイノックスが、どんな競馬をするかによって相手も変わる。水島晴之「G1の鍵 その一瞬」は、阪神内回り2200メートルなら早めに動くとみて、相手候補には末脚鋭い馬をピックアップ。特に同コースのエリザベス女王杯を制したジェラルディーナ(牝5、斉藤崇)に注目した。

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ジェラルディーナは、宝塚記念と同じ阪神2200メートルのエリザベス女王杯を制している。18番枠から中団後ろを進み、4コーナーで馬群の大外をまくって豪快に差し切った。直線の坂を上がってもうひと伸びしたように、息の長い末脚が持ち味。2着とは1馬身3/4差だが通ったコースを考えれば着差以上に強い。

昨年、阪神のエリザベス女王杯を制したジェラルディーナ(右)
昨年、阪神のエリザベス女王杯を制したジェラルディーナ(右)

今回、予想する上で昨年暮れの有馬記念が参考になる。イクイノックスは残り600メートルから早めに動き、4角で先頭に並ぶと後続を一気に突き放した。この動きで先行各馬は苦しくなり、タイトルホルダーもディープボンドもジャスティンパレスも馬群に沈んだ。最強馬の加速について行こうとした結果、体力を消耗して直線の伸びを欠いた。

2、3着には後方でじっくり脚をためたボルドグフーシュ、ジェラルディーナが入る追い込み競馬に。今年の宝塚記念も同じような展開が予想される。しかも直線の短い内回り。一般のレースでも3、4コーナーで後続の追い上げは厳しくなるが、勝負どころで強いイクイノックスがポジションを上げれば、それこそ先行馬は抵抗するのにかなり脚を使わされてしまう。

そうなれば差し、追い込み馬の出番。ジェラルディーナは過去に6勝しているが、阪神内回りの他にも中山(オールカマー)、小倉(2勝)と、小回りでの実績が光る。つまり究極の瞬発力勝負より、3、4コーナーから流れて末脚の持続力を競う形が合う。イクイノックスが早めに前を捉える横綱相撲をすれば、展開は向く。有馬の再現、あるいはそれ以上の走りを見せる可能性は十分にある。

■後ろの馬!

【ここが鍵】

イクイノックスはドバイシーマCで意表を突いた逃げを打ち、ゴールまで持ったままの大楽勝で世界を驚かせた。以前はスタートが遅く、後方からの競馬を強いられた時期もあったが、最近はゲートの出が良くなりレース運びも楽になった。今回メンバー的に逃げることはなさそうだが、阪神内回りを考えればルメール騎手もリスクを負って下げることはしない。勝負どころから早めに動いて押し切る“横綱相撲”を取るはずだ。となれば、前の馬に相当なプレッシャーがかかる。イクイノックスが強い競馬をすればするほど、後ろから来る差し、追い込み馬の台頭に要注意だ。

■ジャスティンパレス 自在な器用さ内回り大丈夫

ジャスティンパレスは有馬記念で力の違いを見せつけられた。イクイノックスとの1秒1差をどこまで詰められるかだが、当時より馬体重は15キロほど増え、明らかにパワーアップしている。天皇賞・春も早めの仕掛けで後続を完封。充実ぶりは著しく、自在に動ける器用さがあり、内回りも問題ない。うまく勝負どころで脚をためられるかがポイントになる。鮫島駿騎手の手綱さばきに注目したい。

直線抜け出して天皇賞・春を制したジャスティンパレス(2023年4月30日撮影)
直線抜け出して天皇賞・春を制したジャスティンパレス(2023年4月30日撮影)

■モズベッロ 馬場が渋れば連対圏突入も

モズベッロは1年2カ月の休養後、使われながら徐々に状態を上げてきた。新潟大賞典4着、鳴尾記念も6着ながら0秒3差。本調子になれば20年宝塚記念3着、21年大阪杯2着とG1でも戦える力はある。いずれも後方からの競馬で展開には左右されるが、流れ次第で好走してもおかしくない。また、道悪巧者だけに雨で馬場が渋るようなら連対圏突入も。一発の魅力を感じさせる馬だ。

坂路でキャンター調整するモズベッロ(2023年5月30日撮影)
坂路でキャンター調整するモズベッロ(2023年5月30日撮影)

■ヴェラアズール 瞬発力一級品しまいで勝負

ヴェラアズールは有馬記念、ドバイワールドCで成績を落としているが、2走前はコースが合わず、前走は久しぶりのダートと敗因ははっきりしている。ジャパンCはムーア騎手の好騎乗もあったが、狭いスペースを突いてきたように瞬発力は一級品。勝ちにいく競馬をするより、しまいに懸けた方がいい。阪神内回りは脚質的に不利だが、馬群をさばく根性があり、乗り方ひとつで上位争いできる。

22年、ジャパンカップを制したヴェラアズール
22年、ジャパンカップを制したヴェラアズール

 [2023年06月20日]

水島晴之
 水島晴之(みずしま・はるゆき)1960年(昭和35年)10月25日、東京都生まれ。0歳から東京競馬場で英才教育。カタカナを覚えるのは早かった。小3の時、競馬専門紙の「ダービー観戦記」に応募。佳作に選ばれスポーツ新聞の取材を受ける。15年後、その道へ。2002年〜2011年4月まで本紙予想を担当。「攻めの本紙」として時に穴馬にも果敢に◎を打った。タケシバオー最強説を唱える。

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