控えたソダシに吉田隼の迷い、距離意識した「我慢」が裏目に/オークス
<オークス>
白毛の女王ソダシが負けた。吉田隼騎手は「距離かな」と2400メートルを敗因に挙げた。直線の止まり方を見れば、それも納得だが、逃げの手に出ていたらどうだったか。結果は同じでも、もっと楽なレース運びができたはず。好スタートから控えたことで、より競馬を難しくした。
1コーナーで外からステラリアに押し込まれ、強烈なプレッシャーを受ける。きついマークは人気馬の宿命。内にはククナ。2頭の間、狭いスペースで折り合いを欠いた。いったんステラリアを前へ行かせて外へ切り替えるまで、かなり体力を消耗している。ここが大きな誤算だった。
逃げたクールキャットも周囲の出方をうかがいながらで、ソダシが行く気になればハナは切れた。追い切り後の会見で吉田隼は「主導権を握ることも、十分ある」と答え、逃げも選択肢のひとつには入っていた。それでも思い切れなかったのは、距離を意識して「我慢させる」調教をしてきたからだ。
行ってしまえば、教えてきたことが無駄になる。また、馬混みでも我慢してくれるのでは、という期待もあったのだろう。この迷いが、前半のポジション取りに出た。距離がもつ馬でも力んで走れば失速する。不安があればなおさらだ。それでも残り200メートルまで先頭争いしたように力は見せた。もし、単騎逃げで折り合っていたら、あの0秒6差はもっと詰まっていたかもしれない。
一方、優勝したユーバーレーベンは、仕掛けるタイミングが絶妙だった。13番手で向正面へ出ると、馬群から離して大外。3コーナーでも6頭分ほど外を回してポジションを上げる。だが、一気には前へ取り付かず、4コーナー手前で今度はいったん馬の後ろへ。流れが速くなったところで脚をためる。このひと呼吸が、後のロングスパートにつながった。直線は早めに抜け出して、後続の追い上げを封じる。馬の癖をつかんだデムーロ騎手の完璧な騎乗だった。
人気のソダシはオークス8着に敗れた。吉田隼騎手はガックリ引き揚げてきた(2021年5月23日撮影)
[2021年05月24日]
- 水島晴之
- 水島晴之(みずしま・はるゆき)1960年(昭和35年)10月25日、東京都生まれ。0歳から東京競馬場で英才教育。カタカナを覚えるのは早かった。小3の時、競馬専門紙の「ダービー観戦記」に応募。佳作に選ばれスポーツ新聞の取材を受ける。15年後、その道へ。タケシバオー最強説を唱える。
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