エピファネイア、菊花賞&ジャパンC制し、種牡馬でもG1馬3頭輩出 活躍の要因は?
<角居勝彦元調教師 Thanks Horse(20)>
競走馬としても種牡馬としても名をはせた要因は? 角居勝彦元調教師(58)が競馬を語る月イチ連載コラム「Thanks Horse」。今回は13年菊花賞馬エピファネイアについてつづった。母のシーザリオや弟のリオンディーズ&サートゥルナーリアも手がけた縁の深い一族だ。
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エピファネイアの特長は“強い背中”でした。ウオッカもそうだったように、背中が長い馬だったのでストライドが大きく、他の馬よりも1完歩で走る距離を稼げるという得がありました。普通は背中が長い分だけ非力になりやすく、しっかりするまでに時間がかかるものですが、それが思いのほか早かったです。ノーザンファームでの育成が良かったのだと思います。
背中が強いのでパワーもすごかったです。そうなると制御が難しくなります。もともと母のシーザリオと同じく頭のいい子で、競馬場へ行くとスイッチが入りました。ですが、がむしゃらに走るだけでは勝てません。それを人間の都合に合わせて走らせ、レースで結果を出せるように工夫するのが我々の仕事です。
3歳の春は精神的に追い詰められている感じでしたが、夏の放牧でリフレッシュできたのが大きかったと思います。厩舎としてもレースの中でオンとオフをうまく切り替えられるように取り組み、菊花賞では上手に走ってくれました。翌年のジャパンCも含めて、注目される大舞台で強い勝ち方をしてくれました。
おそらくダート適性も高かったと思います。シーザリオもデビュー前から「ダート馬では」と言われていましたし、エピファネイアについても乗った助手の誰もが「ダートは走る」と口をそろえていました。
種牡馬としても活躍しているのはありがたいことです。母父スペシャルウィークの父がサンデーサイレンス(SS)なので、たとえばディープインパクト産駒の牝馬と配合すれば、SSの4×3のインブリードになります。これが3×3だと近親すぎてリスクが高まるため、避けられがちになります。生産者としては優秀な繁殖牝馬ほどギャンブルをしづらいからです。こうした生産界のニーズにもマッチしたのでしょう。
今年の種付け料(1800万円)は社台スタリオンステーションでも最高額だったようです。産駒には古馬になって苦労する馬も多いそうですが、体がしっかりしてパワーがつくとコントロールが難しくなるという要因もあるのかもしれません。いずれにせよ、シーザリオが亡くなってしまった後も、同じく種牡馬になった弟のリオンディーズやサートゥルナーリアとともに、私にとって懐かしい名前を残していってくれるのはうれしいことです。
◆エピファネイア 2010年2月11日、ノーザンファーム(北海道安平町)生産。父シンボリクリスエス、母シーザリオ。牡、鹿毛。馬主はキャロットファーム。通算成績は14戦6勝(うち海外2戦0勝)、重賞4勝。G1は13年菊花賞と14年ジャパンCの2勝。種牡馬としてはデアリングタクト、エフフォーリア、サークルオブライフと3頭のG1馬を出している。
14年、ジャパンCを圧勝したエピファネイア。鞍上はスミヨン騎手
[2022年10月21日]
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