角居元調教師、ウオッカに「今でも感謝」牝馬で64年ぶりダービー制覇
<角居勝彦元調教師 Thanks Horse(2)>
最近はドリームシグナルを連れて、珠洲(すず)市の牧場から3キロほど離れた海岸まで“散歩”をしています。まだ人は乗せられないので、馬を引いて30分ほど歩きます。歩道を通っていますが、やはり目立ちますので、通りがかりの人に「写真、いいですか?」と声をかけられたりもします(笑い)。牧場をやっていくには地元の理解も必要ですし、こうして少しずつでも溶け込んでいければと思います。
土日は牧場を見に来られる方も多く、私は競馬をほとんど見られていません。そんな中、先日にはテレビで白毛のソダシが勝った桜花賞のニュースを見ました。周りの競馬を知らない人たちからも「白い馬が勝ったんだね」と言われました。こうしたスターホースの存在は、競馬が「新しい顧客」を得るためにも大事です。
一方で、管理する厩舎としてはさまざまな難しさがあります。私の調教師生活ではウオッカがあてはまるでしょうか。牝馬として64年ぶりとなるダービー制覇を果たしてから、世間での人気が桁違いになりました。
そうなると常に注目の的で「勝たなきゃいけない」という馬づくりを求められます。他の馬に比べてローテーションも早め早めに公表することになり「状態次第で使う」ということは難しくなります。
でも、生き物ですから思い通りにはいきません。周りから「このメンバーなら負けないだろう」とみられる中で、ウオッカには結果が出ない時期もありましたから、焦りや苦しさを感じました。ウオッカが現役の間は、やりがいみたいなものはあまり味わうことがなかったです。引退した時には「やっと終わった」という気持ちも大きかったです。
もちろん、こうした経験は厩舎にとって大きな財産になります。私自身もウオッカのおかげで世に出る人間にしてもらいましたし、いろいろと勉強させてもらいました。今でも感謝しています。(JRA元調教師)
ドリームシグナルを連れて歩く角居元調教師(本人提供)
[2021年04月16日]
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