坂口正大元調教師のG1解説 トップ眼

大本命の重圧はねのけV 福永祐一騎手に余裕と風格

<ダービー>◇5月31日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳◇出走18頭

戦後初の無観客ダービーは、デビュー25年目の福永祐一騎手(43)に導かれたコントレイル(牡3、矢作)が制した。15年ぶりの無敗2冠。本紙評論家・坂口正大元調教師は、自信にあふれたその騎乗を称賛した。

 ◇  ◇  ◇

福永騎手の自信にあふれた騎乗、その信頼の通りに強かったコントレイル。無敗2冠のプレッシャーなどどこ吹く風といった、危なげのない勝利でした。

スタートを決めて、1コーナーまでに好位へ。これなら間違いないという位置取りでした。皐月賞は3~4角で外を回って、内を回ってきたサリオスとたたき合い、半馬身差の勝利でしたが、今回は逆。外から来たサリオスに並ばせず、悠々と3馬身、突き放しました。最後は余裕もありながら、上がり34秒0は出走馬最速。これでは後ろの馬に出番はありません。1頭だけ、力が違いました。

単勝1・4倍の大本命。普通なら重圧がかかるはずですが、福永騎手には終始、余裕が感じられました。一昨年にダービーを初制覇した経験と、1冠目の皐月賞を「想定外」と振り返った形でも勝てたことが大きかったと思います。当然ですが、私が管理したキングヘイロー(98年14着)でダービーに初騎乗した時の福永とは、もう別人です。年間100勝を毎年のように続け、風格も十分です。

父・洋一さんは長めの手綱で乗るタイプでしたが、福永は手綱を余らせることなく乗ります。アメリカ仕込みのそのフォームを見ると、福永祐一だとすぐにわかります。もう25年目ですか。努力を重ね、結果を出し続け、周りに認められる。その積み重ねがあったからこそ、コントレイルのような馬と巡り合うのです。無敗2冠は15年ぶり。まさに15年に1頭の逸材との出会いを大切に、秋は3冠を狙ってほしいと思います。

管理する矢作師は、京都のメインも勝利していました。たくさん使って、たくさん勝つ。その采配、戦略にいつも感心させられます。秋の菊花賞へどんな形で臨むのか。楽しみです。

2着サリオスも強い競馬でした。ですが、15年に1頭の馬が相手では、生まれた年が悪かったとしか言いようがありません。(JRA元調教師)

ダービーを制したコントレイルと福永祐一騎手は、ウイニングランで無観客のスタンドに向い礼

ダービーを制したコントレイルと福永祐一騎手は、ウイニングランで無観客のスタンドに向い礼

 [2020年06月01日]

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