松若騎手、運引き寄せた音無師との絆/高松宮記念
<高松宮記念>◇29日=中京◇G1◇芝1200メートル◇4歳上◇出走18頭
勝つには運も必要です。長年、勝負の世界に身を置いてきた人間として、実感するところです。ただし、その運を引き寄せる、たぐり寄せるのは努力であり、工夫であり、失敗も含めた日々の積み重ねだろうと思います。モズスーパーフレアの勝利を、私は心から祝福したいと思います。
今までいろんな競馬を試してきた馬ですが、逃げた時の成績が一番良く、今回も逃げると決めてスタートから出して行きました。近走の成績や、直線が長い中京ということもあり、つついてくる馬がいなかったことも幸いしました。前後半600メートルずつのラップが34秒2-34秒5ですから、ほぼイーブンペース。絶好の展開でした。入線順としては、クリノガウディーにかわされて2位入線ですが、繰り上がって1着。運を引き寄せたのは絆でしょう。
松若騎手は14年にデビューして7年目。ずっと音無厩舎に所属しています。1年、2年でフリーになる騎手も多い時代にあって、ずっと厩舎に所属し、時にはローカルを回りながら、着実に力をつけてきたジョッキーだと思います。自厩舎の馬であっても、いわゆる“大手”の馬には乗れない、師匠の音無調教師からしても乗せたくても乗せられない、という時期もあったと思いますが、師弟が根底の部分で尊敬しあえたからこそ、今回の師弟でのG1初制覇につながったのだと私は思います。堂々と胸を張っていい勝利です。
1位入線で4着降着となったクリノガウディーは、もったいない競馬になりました。和田騎手の走行妨害は故意ではありません。ですが、道悪の時は馬もよれやすいですし、細心の注意を払うべきだったとは思います。一瞬の出来事とはいえ、本当にもったいなかったです。2着となったグランアレグリアは、一番強い競馬をしました。行き脚がつかず後方からでしたが、1頭だけ差してきました。今後の活躍にまた期待します。(JRA元調教師)
高松宮記念を制し、笑顔で握手を交わす音無師(左)と松若騎手(代表撮影)
[2020年03月30日]
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