坂口正大元調教師のG1解説 トップ眼

【コラム】阪神コース唯一最大のポイントを攻略 福永騎手は超一流の域へ

<坂口正大元調教師のG1解説>

<天皇賞・春>◇2日=阪神◇G1◇芝3200メートル◇4歳上◇出走17頭

阪神で行われた天皇賞・春でした。1周目の3~4角は外回りを通り、2周目は内回り。特殊なコースですが、馬はもちろんわかっていません。意識するのは人、ジョッキーです。ただし、内回りと聞くと直線が短く感じますが、実際は359・1メートル(Bコース)もあり、例年の京都外回りの直線(398・7メートル=Cコース)と40メートルほどしか違いません。必要以上に早く動くことはないのです。

ただ1点、大きく違うのは内ラチが途切れるかどうか。京都外回りは内回りとの合流点でラチが途切れます。加えて、坂の下りで外へ振られるため、直線では馬群がばらけます。内でじっとしていても必ず進路ができるのです。一方で阪神内回りはずっと内ラチがあり、じっとしていると包まれる危険性が高まります。

福永騎手は2周目の向正面で外と後方を確認し、ワールドプレミアを早々と外へ導きました。最内枠からスタートし、そこまでは中団のインで待機する絶好の形。京都外回りなら、あんなに早く外へ出さなかったでしょう。阪神の天皇賞を意識した唯一、最大のポイントでした。そこからスムーズに、すぐ前にいたアリストテレスの外々を上昇。馬はかなり長く脚を使っていますが、さすがは菊花賞馬です。底力を見ました。

福永騎手は今、最も安定しているジョッキーでしょう。2、3年前からそう感じていましたが、昨年のコントレイルでの経験で超一流の域へと達しましたね。2周目の向正面で外へ出した判断は超一流でした。

2着ディープボンドは前々で運ぶ理想的な競馬でした。2周目の3~4角で和田竜騎手の手が動きながら、接戦の2着まできたのは相当な力です。もう少し馬場に水分が残っていればと思いますが、いつか大レースを勝つ馬でしょう。3着カレンブーケドールも前々で積極的ないい競馬でした。常に善戦する、かつてのナイスネイチャ、ステイゴールドのような、肩入れしてしまう存在です。どこかでG1をつかんでほしい1頭です。(JRA元調教師)

レース後、話し合う福永祐一騎手(左)と友道康夫調教師(撮影・白石智彦)

レース後、話し合う福永祐一騎手(左)と友道康夫調教師(撮影・白石智彦)

 [2021年05月03日]

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