存命する最高齢のダービー馬、31歳ウイニングチケット元気です
元気です、存命の最高齢ダービー馬-。今年、31歳を迎えた93年ダービー馬ウイニングチケット(せん)は北海道浦河町の「うらかわ優駿ビレッジ アエル」で余生を送っている。「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」では、松田直樹記者が近況を取材した。
◇ ◇ ◇
ゆっくりで、穏やかな時間がウイニングチケットの周りを流れている。今から28年前の93年。「3強」とうたわれたビワハヤヒデ、ナリタタイシンを打ち負かして第60回ダービーを勝った。当時、しのぎを削った2頭は昨年、相次いで天国に旅立った。存命する最高齢のダービー馬。バブル期の競馬を盛り上げた名馬は30歳を過ぎてもなお、「うらかわ優駿ビレッジ アエル」で元気な姿を見せている。
31歳。さすがに背中は垂れたが、毛づやの良さが年齢を忘れさせる。功労馬たちの世話をする太田篤志さんは「大きな病気をしたことがありませんし、獣医さんを呼んだこともないと思います。緩やかに年を取っている。どなたにも見てもらえば安心してもらえます」とほほ笑む。日中は放牧地で1頭の小さなポニーと平穏に過ごす。年齢からくる“おじいちゃん感”は想像していたよりも小さい。
寝転がっていても、反動をつけずにワンステップで起き上がる。カイバも水でふやかして食べやすくする必要もないという。毎朝、午前6時半に食事を済ませ、7時には放牧地へ。太田さんは「G1を勝った馬ですし、はっきり意思表示ができます。でも、普段は小柄な女性でも引っ張れるし、手が掛かりません」と話す。少しでも放牧に出る時間がずれると機嫌を損ねる“王様気質”はあっても、日常はおおらかだ。札幌から車で約4時間。遠方から顔を拝みにきたファンは老け込まない名馬の姿に、多くが笑顔になる。
今も昔も、愛されている。オールドファンから毎年、年が明ければ年賀状、誕生日が近づけば好物のニンジンが山ほど届く。併設される宿泊施設にはファンが撮影した写真、寄贈した現役時代のグッズも展示されたギャラリーが今春、オープンした。時を同じくして、人気アニメから派生したスマホアプリ「ウマ娘」に登場したことで、現役時代を知らない新規層を知らぬ間に開拓していた。
「長生きしているといいこともあるんですね。何が幸せか分からないけど、チケットは一番いい生活をできているんじゃないかなと思います」
知ってか知らずか、無敗の大阪杯優勝馬レイパパレの母母父としても再び脚光を浴びた。受ける愛情は年々増えている。今は健康そのもの。これからも元気な姿をファンに見せ続けてくれそうだ。【松田直樹】(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)
余生を過ごす93年ダービー馬ウイニングチケット
93年の日本ダービーを制したウイニングチケット。中央は2着ビワハヤヒデ、左は3着ナリタタイシン
[2021年06月22日]
おすすめ情報PR
お問い合わせ
03-4434-2387(平日10〜18時)
◆ご注意 メールでお問い合わせの方は上記アドレスからのメールを受信できる設定にしてください。回答の返信メールが届かないケースが多く発生しております。ご注意ください。また、ニッカンID以外のログイン及び決済関連については、各関連会社へお問い合わせ下さい。