復活期すタイトルホルダーへの思い「イクイノックス相手に、レコード勝ちして引退させたいな」
あの強い姿をもう1度-。G1・3勝馬タイトルホルダー(牡5、栗田)が、来週24日中山のオールカマー(G2、芝2200メートル)から再始動する。
今春は、連覇を狙った天皇賞で競走中止のアクシデントに見舞われるなど、不本意な結果に終わった。この秋の復活はあるのか。今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」は、昨年の凱旋門賞挑戦を現地取材した奥田隼人記者が、同馬を生産した岡田スタッドの岡田牧雄代表(71)を2年連続で直撃した。
- 復活を期すタイトルホルダーについて思いを語った岡田牧雄氏(撮影・奥田隼人)
1年ぶりに、北海道の岡田牧雄代表を訪ねた。昨年は、タイトルホルダーの凱旋門賞挑戦への意気込みを伺った。今年は、復活を期す同馬の5歳秋シーズンやその先の展望を聞いた。
初の海外遠征だった凱旋門賞は11着。岡田代表は「思ったよりもきつかったんだと思う。輸送もあったし、直前の雨に、あの馬場もあった」と振り返る。帰国後は有馬記念で本来の走りができず9着。テンションが上がるなど、海外遠征の代償は大きかった。
今年初戦の日経賞こそ快勝したが、1番人気に推された天皇賞・春は2周目4角でまさかの競走中止。「天皇賞は気性的なストレスみたいなものが出てしまったのかもしれない」。レース後は北海道に放牧で戻ったが、一時は「あんなにおとなしい馬が、立ち上がったりして普通に引っ張れなかった」という。しかし、徐々に落ち着きを取り戻し「その後は夜間放牧もできるようになって、いつも通りのタイトルホルダーでおとなしくなった。覇気も戻ったね」。心身ともにリフレッシュされた。
今秋はオールカマーから始動。山田弘オーナーとも相談し、2戦目にはジャパンC(最高級の◎、芝2400メートル、11月26日=東京)を視野に入れる。その理由は1つ。現役世界最強馬イクイノックスだ。
岡田代表 オールカマーでいい競馬をすれば、次はイクイノックスにぶつけたい。(吉田)勝己さんに「イクイノックスはどこ使うの?」って聞いたら、「何でいちいち聞くのよ」とか言うから、「いいんだって。もう1回競馬させてくれ」と言ってね(笑い)。一番強い馬にぶつける。それは、ファンが一番望むことだから。競馬はそうあるべきだと思う。
来年の去就は未定だが、将来的には種牡馬としての活躍も待たれる。「父ドゥラメンテの後継で、日高でシンジケートを組んでね。サンデー系でも何でも付けられる血統だからね。周りも『スピードの絶対値があるというのが種馬として一番の魅力』と言ってくれているので」と期待を込める。
種牡馬としての価値を高めるためにも、そして何より、復活を信じてやまないファンのために。
岡田代表 強いタイトルホルダーが戻ってきてほしいというのは、ファンもそう思っているだろうし、自分もそう思っている。ジャパンCでイクイノックスを相手に、レコード勝ちして引退させたいなというのもあるよね(笑い)。4コーナーで10馬身くらい離して、直線もその差が詰まらないでゴールしたとか、そんな夢ばかり見てるよ。
またあの強い、強いタイトルホルダーが戻ってくることを信じている。
◆岡田牧雄(おかだ・まきお)1952年(昭27)5月14日、北海道静内町(現新ひだか町静内)生まれ。父・蔚男(しげお)さん(故人)が「岡田蔚男牧場」を創業。ミホランザン(73年朝日杯3歳S優勝)などを生産した。次男・牧雄氏が引き継ぎ84年に「岡田スタッド」に改称。岡田スタッドのG1初制覇はマツリダゴッホ(07年有馬記念)。他にスマートファルコン、サウンドトゥルーなどを生産、育成した。
◆タイトルホルダーとイクイノックス これまでの対戦は昨年の有馬記念の1度のみで、当時3歳の1番人気イクイノックスが勝利。凱旋門賞遠征からの帰国初戦だった4歳タイトルホルダーは2番人気で、果敢に逃げを打ったが、9着に敗れた。
(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)
[2023年09月12日]
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