女性厩務員のできるまで

“緊急事態”の友情に感謝/坂井コラム第52弾

皆様、いかがお過ごしでしょうか。今年は、いつもより緊張感のある年明けだったように感じます。いつもは親戚やお友達と集まったりしていたのを、控えた方も多いのではないでしょうか。

再び緊急事態宣言が出たこともあるのかもしれません。このような状況なので、人との縁やつながり、交流の大切さをより一層感じます。

私はもともと「連絡無精」なので、小中学校時代のお友達の連絡先も近況も誰一人知りません。高校時代の友人数人とつながりはありますが、もう何年も、というか10年ほど会っていないかもしれません。

厩務員さんをしている時は休みが合わないので仕方ないと思っていたのですが、辞めて時間ができると少し寂しいと感じるようになりました。まあ、連絡しない私が悪いんですけどね(笑い)。

そんな私が、今でも連絡を取りあうのは「お馬さんが結んでくれたご縁」のある方々です。その方々のおかげで、私は笑って過ごせているなと感じています。昨年は特にそれを強く感じる出来事がいくつもありました。

1つは昨年のクリスマスイヴの日、用事を済ませた帰り道で、もらい事故にあいました。幸い大したケガはなく車が割れた程度で済みましたが、翌日、落馬後のような筋肉痛がありました。きっと事故の時に、恐怖と緊張で体が震えていたせいだと思います。

この状態では動けないと感じました。「どうしよう」と悩んだ時、浮かんだのは2人のお友達の顔でした。

1人は元女性厩務員の先輩のむっちゃん。そしてもう1人は西原玲奈ちゃん(時々コラムに登場してもらっているので覚えてはる方もいはるでしょう)。玲奈ちゃんはお仕事なので、むっちゃんに連絡をすると、すぐ助けに来てくれはりました。そして、玲奈ちゃんは仕事終わりに、晩ご飯の材料を抱えてきてくれはりました。

最近はこのような状況で会えなかったので、短時間ではありましたが、久しぶりにちょっと天然のむっちゃんと、切れ味抜群のツッコミの玲奈ちゃんをみたら、こわばっていた体も心もすごく楽になって、次の日には普通に動くこともでき、それどころか痛みもどこかに消えていました。

いつも、2人には助けてもらっていて、いくら感謝しても足りないくらい、ありがとうの気持ちでいっぱいです。2人には競馬の世界に入っていなければ出会えていなかったので「お馬さんが結んでくれたご縁」やなと強く感じます。

この出来事以外にも、「お馬さんが結んでくれたご縁」を感じる出来事がありました。というのは、厩務員さんや助手さんをしているお友達から「坂井が担当していたお馬さんの子供がうちの厩舎に入ってきたよ」という連絡をくれはることがあったからです。それも、1人だけでなく、何人もの方から連絡をいただきました。

私が厩務員さんを辞めてからもう5年ほど経つというのに、私の担当していたお馬さんを覚えていてくれはったこともですが、それを連絡してきてくれはった気持ちがうれしくなりました。

中には「担当することになったよ」と連絡をくれはるお友達もいて、ますますうれしかったです。こんな状況でなければ「孫ちゃんたち」の取材をしに栗東だけでなく、美浦や競馬場に伺いたいと思ったのですが、ほんま残念です。そんな「孫ちゃんたち」の中で、昨年うれしい知らせをくれたお馬さんがいます。

それは、昨年の11月29日。東京競馬場ではジャパンCが行われた日でした。ジャパンCの豪華メンバーにワクワクしていたのはコラムにも書いていましたが、私はその日、朝から緊張で何度もお手洗いに走っていました。というのも、その日の阪神1レースに母メジェルダ、母の母メリュジーヌという母娘2代を私が担当させてもらっていたお馬さんの子供が走るからでした。

彼の名前は「メディーヴァル」。私は彼のことをヴァル君と勝手に呼んでいます(笑い)。

ヴァル君はそれまで5、2、2着ともう少しというところまできていて、この日こそ !  と私は勝手に意気込んでいました。

もう、レースまで何も手につかない状態で、ひたすらテレビの前をウロウロ。ファンファーレが聞こえてテレビの前に正座していました。

ゲートが開くと、母や祖母のように素晴らしいスタートを切ったヴァル君は外目の3番手でレースを進め、4角で先頭に並びかけ、直線はそのまま突き抜けて初勝利をおさめました。

私はヴァル君が先頭に立った時、すでに大号泣してしまいました(笑い)。こんなに泣いたのは、厩務員さんの時以来かもしれません(笑い)。

あまりにうれしくて、ヴァル君・メジェルダ・メリュジーヌの生産牧場さんに電話をかけようと携帯電話を手にした瞬間、着信音がなりました。

出ると、生産牧場の社長さんから「強い勝ち方だったね。良かった」とお言葉をいただき、私はますます泣いてしまいました。

社長の奥様は大号泣している私に「そうだよね。自分の子供と一緒だよね」と気遣って下さいました。

こうした出来事も生産牧場の方々も私にとって「お馬さんが結んでくれた大切なご縁」です。

このような状況なので、お馬さんが結んでくれた大切な方たちに直接お会いできませんが、これからも、こうしたご縁を大切にしていこうと強く感じました。

今回もフェブラリーSと関係ないお話になってしまいました。今年もこんな感じでコラムは進みそうですが、よろしくお願いいたします。

それでは、今回はこの辺りで。皆様、ごきげんよう。

西原玲奈ちゃん(写真)とむっちゃんには私の“緊急事態”時に助けてもらいました

西原玲奈ちゃん(写真)とむっちゃんには私の“緊急事態”時に助けてもらいました

ヴァル君(メディーヴァル)初勝利で大号泣。ご縁はこれからも大切にしたいです

ヴァル君(メディーヴァル)初勝利で大号泣。ご縁はこれからも大切にしたいです

 [2021年02月15日]

坂井千晃
 坂井千晃(さかい・ちあき)京都市生まれ。中学時代に競馬に出会い、高校在学時に京都競馬場乗馬センターで乗馬を始める。卒業後、北海道静内にある、へいはた牧場で3年半修業し、競馬学校に合格。04年からJRA栗東トレーニングセンター昆貢厩舎で、調教厩務員、調教助手として12年以上働き16年に退職。

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