多くを学んだヒューイットソン 来年はファンの前で
こんにちは。先週の天皇賞は最後の直線で壮絶なたたき合いとなり、とても見応えのあるレースでした。レース内容としては、キセキがスタートを上手に出て好位で走っていましたが、1周目の直線でペースを落としきれず先頭に出た事でペース自体がよどみない流れとなり、最後の決め手勝負でフィエールマンの末脚が生きたと感じました。
一方、2着のスティッフィリオは前めにポジショニングをしながら最後までしっかり走れた点から、ステイヤーとしての資質を示す形になったと感じています。今後のローテーションが楽しみです。フィエールマンは、次にどのレースを使うのかまだわかりませんが、この強烈な末脚があれば中距離路線でも楽しみな存在になりそうだと思います。
話は変わりまして、先週で日本での短期免許騎乗を終えたヒューイットソン騎手についてお話をしたいと思います。数多くの素晴らしいサポートのおかげで、土曜日は青葉賞を含める3勝、日曜日は2勝する事が出来ました。金曜日に行った私と中村エージェントとヒューイットソン騎手とのミーティングの中で「来日最初の週からこの2カ月の間、ヒューイットソン騎手が日本でどれだけ数多くのことを学び、どれほど進化したのかの証明になるから、最終週はしっかり頑張って欲しい」と話をしていました。ヒューイットソン騎手は、まだ22歳と若く、また国際経験が少ないため、日本のレースに対応するのに苦労しましたが、騎乗する度に多くのことを吸収し、来日初年度としては素晴らしい成績で終えることができたと思います。
そして、日本のホースマンたちの馬への情熱は、若いヒューイットソン騎手の心の中に大きな感銘を与えていました。特に日本人騎手たちの戦略的な乗り方を体験したことは、今後の騎手人生に生きてくると思います。ヒューイットソン騎手は最終レース後のインタビューで「数多くのことを学んだ」と話していますが、これは日本人騎手の戦略的作戦のことを指しているのだと思います。
ヒューイットソン騎手は来年も同じような時期に来日する予定なので、日本で得た経験を経て、どれほど進化して日本に戻ってくるか非常に楽しみです。
私自身、ここ数年でマーフィー騎手、ヒューイットソン騎手と若い騎手2人を担当していますが、どちらも素直で真面目な性格が印象的です。マーフィー騎手は2度目の来日でG1制覇をすることができたので、ヒューイットソン騎手もぜひ来年は大舞台でタイトルを取って欲しいと思います。
ヒューイットソン騎手は8日に南アフリカ政府が用意する飛行機に乗って帰国する予定です。無観客競馬が続いたことでファンの皆様に直接会えなかったことはとても残念でしたが、来年は競馬場で皆様と会えることを楽しみにしています。2カ月間の熱い応援ありがとうございました。(レースホースコーディネーター)
3日東京で最終レースに騎乗した後のヒューイットソン騎手。来年またお会いしましょう。
ヒューイットソン騎乗のオーソリティが青葉賞を制した(撮影・酒井清司)
[2020年05月06日]
- 安藤裕
- 安藤裕(あんどう・ひろし) 1979年(昭54)10月19日、東京都生まれ。馬主だった父の影響で少年時代から競馬に親しむ。98年に渡英、J・ゴスデン厩舎で馬の基礎を学ぶ。その後は騎手としてアメリカ、カナダなどで騎乗したが、けがで引退し、08年に帰国。プロ野球の横浜ベイスターズで外国人選手の通訳となる。11年に株式会社FELESを設立。厩舎や牧場の調教情報を管理するシステムを取り扱うほか、外国人騎手の通訳や、海外に遠征する日本馬のサポートなど、レースホース・コーディネーターとして幅広く活躍している。ニックネームはハッピー。
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