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水島晴之「前哨戦その一瞬」

レッドジェニアル坂下って頂点登る/菊花賞

菊花賞は坂の下りがポイントだ。ここを味方にできるか否かで勝敗が決まる。水島晴之記者の「G1前哨戦その一瞬」は、神戸新聞杯4着のレッドジェニアル(牡、高橋忠)に注目した。サートゥルナーリアには直線だけで6馬身近い差をつけられたが、上がり32秒台の瞬発力勝負では厳しかった。ばてずにどこまでも伸びる末脚で、下りからのロングスパートが決まれば怖い存在になる。

9月22日、神戸新聞杯を制したサートゥルナーリア(左)と4着となったレッドジェニアル(右端)
9月22日、神戸新聞杯を制したサートゥルナーリア(左)と4着となったレッドジェニアル(右端)

消耗戦持ち込めばレッドジェニアル

<神戸新聞杯>◇9月22日=阪神◇G2◇芝2400メートル◇3歳◇出走8頭

神戸新聞杯はシフルマンが1800メートル1分54秒5の超スローペースで逃げた。この流れの3番手につけたレッドジェニアルは、1馬身前にサートゥルナーリアを見る絶好の位置。直線も手応えはあったが、そこから一気に1秒(約6馬身)突き放され、後ろから来たヴェロックス、ワールドプレミアにも差された。ラスト3ハロンのレースラップは10秒8-10秒2-11秒3。レッド自身も過去最速の33秒1で上がったが、勝ち馬に32秒3で上がられてはお手上げだ。

2400メートルの長距離戦でも、実質は800メートルの「よーい、ドン」。11秒台の脚は長く続くが、10秒台の切れる脚はない。もっとも苦手とする競馬だった。さすがに3000メートルでは、ここまで速くはならない。

持久力勝負なら互角にやれる。それを証明したのがダービーだ。この時も残り600メートルで1馬身前にサートゥルがおり、前走と比較しやすい。1ハロンごとの差(何馬身差)から算出した2頭の推定ラップは別表の通り。

 
 
 
 

残り600~400メートルで大外を一気に加速したサートゥルの10秒9に対し、レッドは馬群の中に入れて11秒2。同400~200メートルでも0秒2差がついた。1馬身差が4馬身差に。MAXの末脚ではどう転んでもかなわない。だが、ラスト1ハロンは逆にレッドが0秒4上回った。いったん広げられた差をゴール前で詰めていたのが分かる。つまり上がり3ハロンは34秒1、34秒2とほぼ同じでも、タイプによって脚の使いどころが違うわけだ。

ここに菊花賞のヒントがある。京都外回りは京都新聞杯でロジャーバローズを差し切った。間違いなく坂の下りを味方にできるタイプ。早めの仕掛けで消耗戦に持ち込めば、菊の大輪を咲かせる可能性はある。

精神面で成長ニシノデイジー

<セントライト記念>

内外で明暗が分かれた。4回中山開催は芝コンディションが良く、重馬場で2分11秒5の速い時計が出たように内が伸びる馬場だった。2着サトノルークス、3着ザダルは勝ったリオンリオンを追うように、ラチ沿いに潜り込んで伸びてきた。枠(1枠)に恵まれたことも否定できないが、ひと夏越しての成長が見られる。ただ、3000メートルに延びていいかは疑問。距離克服が鍵になりそうだ。

一方、後方から大外強襲の5着ニシノデイジー、6着タガノディアマンテはロスの多い競馬だった。特にニシノデイジーは、折り合いに専念するあまり、仕掛けも遅れた。上がりはメンバー最速の35秒0をマークしており、あらためて力を示した。春は乗り難しいところもあったが、掛かる面が解消し精神的な成長を見せたのは収穫。この内容なら3000メートルもこなせる。

操作性いいホウオウサーベル

<阿賀野川特別>

ホウオウサーベルが、2着に5馬身差をつける圧勝だった。プラチナアッシュが前半1000メートル58秒5の速いペースで逃げたが、離れた3番手以降は平均以下。4角手前で先行馬へ取り付くまでの脚が速かった。追いだしてからの脚もしっかりしており充実著しい。ようやく素質に体力が追いついてきた印象だ。確かに相手には恵まれたが、鞍上の指示通り動ける操作性の良さがあり3000メートルは問題ない。

長距離能力あるヒシゲッコウ

<阿寒湖特別>

ヒシゲッコウが、長く脚を使って差し切った。前半は後方で折り合いをつけて、2周目3角から動いた。仕掛けてからトップスピードに入るまでにタイムラグはあるが、加速すると止まらない。大外を回っての2馬身差は着差以上に強い。ルメール騎手も「長距離の能力が高い」と話しており、2度の坂越えを味方にできる。

 [2019年10月16日]

水島晴之
 水島晴之(みずしま・はるゆき)1960年(昭和35年)10月25日、東京都生まれ。0歳から東京競馬場で英才教育。カタカナを覚えるのは早かった。小3の時、競馬専門紙の「ダービー観戦記」に応募。佳作に選ばれスポーツ新聞の取材を受ける。15年後、その道へ。タケシバオー最強説を唱える。
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